異次元緩和10年、後継に重圧 次期日銀総裁は雨宮・中曽氏軸
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「首相周辺は『いまは金利が上がる方が、円安進行よりも経済に打撃を与える』と黒田氏を擁護」、「異次元緩和を進めてきた日銀と政府の足並みは乱れていない」 (@@。
政府が国債を発行して財政支出を拡大し、日銀がその国債を買って量的緩和を進める組み合わせは、日本がデフレ、低インフレの間は問題が水面下で蓄積されるだけで表面に出てきません。国債を発行したい政府と、国債を買う日銀の思惑が一致するからです。
2年の予定で始めたこの組み合わせが目的を達せぬまま10年近くに及んで低利に慣れた政府の赤字が嵩んで借金が1000兆円以上も積み上がり、日銀の抱える低利の国債が巨額に上って株やらなにやら含めたバランスシートサイズがGDPの1.4倍に達し、低金利の変動金利ローンも膨れていす。株価も日本最大の株主にのし上がった日銀に支えられている状況で、歪は極限に達しています。この状況で日銀が量的緩和を止めて資金を吸収して金利が上がったら、政府の利払いがやがて10兆円単位で増嵩し、日銀が赤字に陥り家計がローン返済に行き詰まり、株価も下がって大変なことになりそうです。
黒田総裁は、物価高に苦しむ庶民を前にインフレ目標の達成は程遠いと仰っていますが、日本が本格的なインフレに陥って、日銀が国債を買うのを止めざるを得なくなったら大変です。インフレを止めるため日銀が国債を買うのを止めたら財政赤字が利払いで膨らんで、住宅ローン破綻が相次いで株価が下がって政権が持ちません。財政の行き詰まりを避けるため政府の求めに応じて国債を買い続けたらインフレは止まりませんし、インフレを止めるため国債を買うのを止めたら政府が財政破綻を起こします。日銀自身も赤字になりますし。
モノの値段が6%近く上がって庶民が苦しんではいるものの、公共料金とか架空の数字である帰属家賃とか機能向上分が値下がりと見做される携帯電話などの上昇が低く抑えられているので表面上の物価上昇率は何とか2%台にどまって、今のところ政府と日銀は足並みを揃えていられるのです。両社の間に確執が出るのは円安とインフレが更に高じて量的緩和が許されなくなったその時です。こんな構図を日本に作り出した後始末を引き受ける日銀総裁は、大変な役回りだと思います。円安とインフレに火がついて火中の栗を拾うことにならなければ良いけれど・・・ (・・;