[イスラマバード 10日 ロイター] - 国連のグテレス事務総長は10日、大規模な洪水被害に見舞われたパキスタンの被災地を視察し、国際社会に資金援助の強化を呼びかけた。

モンスーンによる豪雨や北部山岳地帯の氷河溶解を受けた今回の洪水では1391人以上が死亡、住宅や道路、橋、家畜などが流され、パキスタンは被害額を300億ドルと試算している。

グテレス氏は記者会見で「きょうはパキスタンだが、明日はあなたの国かもしれない。これは世界的な危機であり、世界的な対応が必要だ」と述べた。

また「世界中で多くの災害を見てきたが、これほどの気候被害は目にしたことがない」とし、国際社会は気候変動の影響が最も深刻な国々への支援を強化する必要があると訴えた。

具体的には、復興や気候変動への適応を支援する資金提供に加え、20カ国・地域(G20)各国は自国の排出削減目標を毎年引き上げるべきだと指摘。

また、パキスタンのように気候変動の影響を受けやすい国に対する新たな債務救済の仕組みが必要だとし、債務国が対外債務の返済を続ける代わりに自国の気候プロジェクトに資金を振り向ける債務交換を提案した。