2022/9/2

【深刻】猛暑とメンタルヘルスのディープな関係

INDEX
  • メンタルが全方位的に悪化
  • 「32度超え」が危険ライン
  • 猛暑時、体内で起きていること
  • 眠れない夜がメンタルをむしばむ
  • 所得の低い人ほど影響は深刻

メンタルが全方位的に悪化

この夏、全米の人々が相次ぐ熱波に耐えてきた。
湿度の高い灼熱の日々は、もうしばらく続きそうだ。極端に高い気温と湿度は、身体的に不快であることは言うまでもなく、精神にさえ影響を及ぼす可能性がある。
猛暑が心にダメージを与えるという現象は、「あらゆる種類のメンタルヘルスについて確認されています」と話すのは、マックス・プランク人間開発研究所の研究者であるニック・オブラドヴィッチ。彼は2018年に、気候変動がメンタルヘルスに及ぼすリスクを分析した共同研究を発表している。
精神的な疲労から、攻撃性の亢進、さらには自殺率の上昇まで、メンタルヘルスのさまざまな問題と気温の上昇とのあいだに関連性があることが、研究によって明らかになっている。
こうした関連性は、気温が急上昇するときだけでなく、常に暑い気候で暮らしている人にも見られるという(もちろん、メンタルヘルスの傾向は気温以外のさまざまな要因にも左右される)。
なぜこのような関連性が見られるのか。暑さそのものが脳に変化をもたらし、メンタルヘルスに影響するのか──こうした疑問は、まだ科学的には解明されていない。
しかし、過酷な暑さがメンタルヘルスの悪化につながることは明らかだと、専門家は指摘する。
(Iryna Veklich/Getty Images)