[東京 15日 ロイター] - 岸田文雄首相は15日の「物価・賃金・生活総合対策本部」で、製粉会社に政府が売り渡す輸入小麦の価格を10月以降も据え置くよう指示した。ガソリンなど燃油価格抑制策や電力料金の抑制策なども具体的な検討を指示した。

岸田首相は小麦の売渡価格について、対策を講じなければ「10月以降、22年度前半の国際価格の高騰を反映して2割程度価格が上昇する」と説明。野村哲郎農相に具体策の検討を指示した。

日本の小麦自給率は15%(2020年度)にとどまっており、大部分を輸入に頼っている。輸入小麦は政府がまとめて買い付け製粉業者などに売り渡しており、売渡価格は毎年4月と10月に買い付け価格をもとに決定される。4月は17.3%引き上げられ、過去2番目の高値となっている。

ウクライナの輸出再開などを受け、米小麦先物価格は直近1ブッシェル8ドル前後とロシアのウクライナ侵攻前の水準まで下がっているが、侵攻直後には世界的な供給減懸念で同13ドル超まで急騰していた。

岸田首相は野村農相に対し、飼料価格動向を踏まえた畜産物の価格上昇抑制策や、食品ロスの削減対策強化なども指示した。

西村康稔経産相には、ガソリンなど燃油価格の負担軽減について、現行の補助金制度の実施状況を踏まえ10月以降の対策を具体化するよう指示。冬に向けて最大9基の原発稼働確保や、不測の事態に備えた追加的な燃料調達に向けた官民一体での取り組み、実質的な電気代の負担軽減などを指示した。「地方創生臨時交付金の活用を含め 地域の実情を踏まえた効果的な電力料金対策」を行うよう求めた。

岡田直樹地方創生相には、1兆円の地方創生臨時交付金を増額するよう指示し、物価高騰対策により重点的効果的に活用される仕組みに見直しを図りつつ対策強化するよう要請した。