[10日 ロイター] - 10日に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)で物価の伸びが予想以上に鈍化したことを受け、金利先物市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%ポイント利上げの観測が後退した。

しかし、今後数週間に発表される指標の内容によって、状況はなお変化する可能性もある。

7月のCPIは前年同月比8.5%上昇と、伸びは前月の9.1%から鈍化し、市場予想の8.7%を下回った。前月比では横ばいだった。しかし、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比5.9%上昇と、基調的なインフレ圧力が依然高止まりしていることも示された。

CPIを受け、米連邦準備理事会(FRB)が9月にフェデラルファンド(FF)金利を0.5%ポイント引き上げ、2.75─3%のレンジにし、12月に3.25─3.5%でピークに達するという見方が強まった。

CPI発表前は、3.5─3.75%のレンジ、もしくはそれ以上の水準まで引き上げられると予想されていた。

米シカゴ地区連銀のエバンス総裁は、7月CPIがインフレ加速を示さず、FRBが金融引き締めに着手して以来、インフレに関して初めて「ポジティブな」数値になったと述べた。同時にインフレ率はなお「受け入れがたいほど」高水準とし、FRBには引き続き利上げが必要で、政策金利を年末までに3.25%─3.5%に引き上げる可能性があると述べた。

IIIキャピタル・マネジメントのチーフエコノミスト、カリム・バスタ氏は「FRBは(インフレ鈍化を示す)一段の証拠を必要としているが、今回のCPIは良いスタートだ」と述べた。さらに、最近のエネルギー価格動向などを踏まえ、9月のFOMC前に発表される8月のCPIが良好な内容となる可能性があり、「0.50%ポイント利上げが好ましい選択肢となるだろう」と述べた。

しかし、基調的なインフレ圧力が依然高止まりする中、ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのルベラ・ファローキ氏は「物価は依然不快なほど高い」と指摘。「雇用や賃金の伸びと相まって、今回のCPIは9月の積極的な利上げを支える内容」とし、9月の0.75%ポイント利上げ予想を維持した。