[キーウ(キエフ) 9日 ロイター] - ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムのペトロ・コティン総裁は9日、ロシアの管理下にある南東部ザポロジエ原子力発電所への砲撃に強い懸念を示した。

ロイターのインタビューで、ロシアによる先週の砲撃で同原発とウクライナの電力網を結ぶ3本の送電線が損傷したと指摘。

砲撃の一部は放射性物質の容器174基が置かれた使用済み核燃料貯蔵施設の近くに着弾したとし、「これらは原発内で最も放射性レベルの高い物質だ。(砲撃されれば)周囲に広がって放射能の雲のようなものが生じ、どの方向に向かうかは天候次第だ。リスクは非常に高い」と警告した。

ロシアが自国の電力網に原発を接続することを狙っているとも述べた。そのためには原発をいったんウクライナの電力網から切り離す必要がある。

コティン氏は「彼らの計画はザポロジエ原発からの送電線を全て破損させることだ。その後ウクライナの電力システムに接続されることはないだろう」と述べた。

また、同原発には現在約500人のロシア軍兵士がおり、基地として利用していると指摘。ロシア軍が撤退し、原発をウクライナの支配下に戻すことが最善策だとし、施設の警備に当たる平和維持部隊の派遣を提案した。