【3分解説】なぜFBIは「トランプ捜査」に踏み切ったのか？

熱狂的なトランプ支持者にとっては、何があってもディープステートによる陰謀論は揺るがないでしょう。彼らの、既存の政治システム、司法に対する不信感は非常に根深いですから、今回の捜査が正当なものであったとしても、政治不信と分断をさらに強めることにしかならないように思います。
　もうこの分断の流れを止めることはできず、今後それがどこまで進み、それが米国社会をどのようにしてしまうのか、について考えることが重要ではないかと思います。分断される米国は決して強くありませんから、日本の安全保障にとっても深刻な問題です。

なんとなく、やめたばかりの権力者が捜査の対象になる国は民主政治やガバナンスがしっかりしていないという印象を持つ人も多いかもしれません。民主主義のリーダー国、アメリカでこうした事態が起きるのは異例です。トランプにとって「異例」「前代未聞」はいつものことですが…。

家宅捜索を受けたトランプ前大統領は、真っ先に民主党を非難しました。アメリカでもトランプに近い政治家・支持者は一様に「民主党の仕業だ」「バイデンが糸を引いている」といった発言しています。

もちろん、FBIを管轄する司法省はバイデン政権の一部なので、広い意味で無関係ではないでしょう。しかし同時に、現在のFBI長官はトランプ時代に指名された人でもあります。そして強制捜査には裁判所のGOサインが必要ですが、その裁判官も保守派で占められています。こういう事を考えると「選挙を狙ったディープステートの仕業だ」というロジックは厳しい気もします。

さて、ではこの家宅捜索にはどんな意味があるのか。トランプの他の疑惑にまで行く可能性はあるのか。分かりやすいQ&A方式でお届けします。

FBIが捜査ということは、かなりの確証があったということ。何も出てきませんでした、では済まされないでしょう。FBIのメンツが立たない。

機密文書の持ち出し容疑という捜査から、脱税や議会議事堂襲撃の捜査へと展開していく。前代未聞の米国大統領スキャンダル。映画になりそうですね。

公文書を段ボール15箱も盗んだんですよね。再三の返却要請を無視して、ようやく返したと思ったら歯抜けがあったと。モリカケどころの騒ぎではないですよね。当然では。

陰謀論を煽るのは慎みたいですね。峯村健司さんがコメントされているように「今回の捜索令状は、トランプ政権下で任命されたレイ司法長官が許可を出している」に尽きると思います。シンプルにトランプ氏の文書管理に問題があったということですよね。

記事のなかでは、トランプ氏の対立候補であるデサンティス氏の名前に注目しています。共和党は本当にトランプ氏支持でまとまれるのか。注目しています。

ダナさんのコメントのとおり、FBI長官も最高裁もトランプ指名の人たちで、ホワイトハウスは知らなかったようなので、これを「バイデンの政治的陰謀」というのは違いそう。

一方で、NYTの解説ポッドキャストでも、「国立公文書館の人が2回書類を取りにいった後、普通なら裁判所命令とかもうちょっと穏便な手段がありそうなのに、いきなりFBIが踏み込むというのは違和感がある。彼らは一体何を探しているのか？」と首をかしげていました。謎です。

＜訂正＞裁判所命令はすでにでていて、それでも提出しなかったから踏み込んだらしいです。失礼しました。

曰く
トランプ氏が捜査を受けているからといって、選挙にマイナスだとは限りません。

トランプ側は捜査を「対立する民主党からの攻撃だ」とアピールすることによって、むしろ支持者の結束を高め、得票が増える可能性も考えられます。

甘くないでしょうか。
トランプは連打されないでしょうか。

アメリカ選挙は劇場の一つであり、意外にみどころがあります。

トランプ元大統領自身はどこまで計算してやっているんだろう。元々の人格なのか、計算され尽くしているのか全く読めない。イーロン・マスクもそうですが、多様性というにはあまりにも人材の層が厚く幅広い。常識人ではとても相手にできないですね

記事以外の観点で…
何が事実かは分からないし、人は自分が見たい・解釈したいように情報を見る・信じる。そういう特性があるから情報戦も行われる。
結果として分断も深まる。