[東京 5日 ロイター] - 日銀が気候変動対応で発行が増えているESG債などをテーマに実施した調査では、銀行などの金融機関でESG債の需要がより強いことが明らかになった。また、金融機関や事業会社の半数超が、気候変動リスクや気候変動への取り組みによる収益拡大が株価に織り込まれていると回答した。

日銀は初めて気候変動対応に関連した市場動向を調査し、5日に結果を公表した。調査は金融機関、事業会社、格付け会社など663社を対象に今年4月13日から5月31日まで行い、290社が回答した。回答回収率は44%。

調査によると、ESG債の需給について、全体では39%が需要が多いと回答。このうち投資家では43%、発行体では37%が需要が多いと答えた。業種別では、銀行で48%、銀行以外の金融機関で53%が需要が多いとする一方、事業法人等で需要が多いと答えたのは27%にとどまった。

近年、ESG債の発行が急速に増えているとは言え、2022年3月時点で社債市場全体の3.8%に過ぎない。市場拡大のためには、投資家や発行体の広がりが必要との回答が7割強で最も多く、次いで情報開示の拡充や標準化が続いた。

一方、気候関連リスクや、気候変動への取り組みがもたらす収益や成長の機会が株価や社債価格に反映されているかとの質問では、反映されていると「思う」、または「ある程度思う」と回答したのは、株価では全体の5割強、社債価格では4割程度となった。ただ、株価・社債価格とも「思う」との回答は全体の2―3%程度にとどまった。

(和田崇彦)