[台北/プノンペン 5日 ロイター] - 中国が台湾周辺の海域に向け複数のミサイルを発射し、そのうち4発が台北市の上空を通ったことを受けて、台湾側は中国を「邪悪な隣人」と呼んで非難した。

中国人民解放軍は4日、ペロシ米下院議長の台湾訪問への抗議として、台湾周辺では史上最大規模と演習を開始した。

台湾の蘇貞昌・行政院長(首相)は5日、記者団から中国のミサイル発射について質問された際、中国は世界で最も頻繁に使用される水路を軍事演習で恣意的に破壊していると批判。台湾の「邪悪な隣人」が力を誇示していると述べた。

演習は7日正午まで続く見通し。中国は台湾を内政問題と位置付けている。

中国国防省の報道官は「米台の結託と挑発は台湾を大惨事の深淵に追いやるだけで、台湾同胞に破滅をもたらすだけだ」と強調した。

台湾の蔡英文総統は、台湾は紛争を誘発することはしないが、自らの主権と安全保障を断固として守ると述べた。

台湾の国防部は5日、中国の大規模演習を巡る状況を監視するために軍機と艦船を派遣し、地上にミサイル防衛システムを配備したと表明した。

中国軍の複数の艦船と軍機が5日午前に台湾海峡の中間線を越えて台湾側に入ったと指摘し、中国の軍事活動は非常に挑発的だとした。また、台湾軍の即応態勢を整えるが、戦争を求めることはしないとの立場を示した。

ブリンケン米国務長官は5日、カンボジアで開催された東アジアサミットの外相会議で、ペロシ氏の訪台に対する中国の反応は「甚だしく挑発的だ」と述べた。西側当局者が明らかにした。

長官は、中国が台湾だけでなく周辺諸国も脅そうとしていると述べた。