株式会社ユーザベースは、2022年8月4日に2022年第2四半期の決算説明会を開催しました。当日の様子をほぼ全文採録でレポートいたします。

【登壇者】
代表取締役Co-CEO 稲垣 裕介
代表取締役Co-CEO 佐久間 衡
執行役員CFO 千葉 大輔
株式会社アルファドライブ 代表取締役 CEO 麻生 要一
佐久間 7月に東京駅の近くにオフィスを移転しまして、本日はその新しいオフィスからお届けします。
ユーザベースのパーパスは「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」。これを昨年定め、このパーパスを実現するためにユーザベースは存在しております。
佐久間 より具体的にお話しすると、その実現のために企業向け・個人向け2つの方向でサービスを提供しております。企業向けには競争環境分析を自動化するSPEEDAを提供しております。またB2B分野で顧客分析を自動化し、それをマーケティングや営業に繋げていくためにFORCASを提供しております。
さらに、自律的な人材を増やし、新たな顧客価値が探索され続ける組織をつくる。そのためにAlphaDrive/NewsPicks事業があります。
前回の決算説明会では、より我々のサービスを深く知っていただくため、FORCAS事業CEOの田口がFORCASについて説明いたしました。今回も同様の趣旨でAlphaDrive/NewsPicksに関して同事業CEOの麻生が後ほど説明させていただきます。
個人向けについては、経済に関心を持ちニュースを楽しむ人を増やしていきたい。社会課題に関心を持ち、学び自ら行動する人を増やしていきたい。
そのためにNewsPicksというソーシャル経済メディアを運営しております。また、人の知見を循環させ、社会課題の解決に繋げていく。そのためにNewsPicks Expertという、ナレッジプラットフォームを運営しております。
佐久間 パーパス自体に「経済情報の力で」とある通り、我々の強みは経済情報です。経済情報の質と量、その両方ですね。
我々のユニークなポイントは、経済情報を共同活用する体制をつくっている点にあります。この図の左側にある通り、企業業界データベースを、ユーザーにとって最も最適な形で構築し続けていく。その単一のデータベースをSPEEDA、INITIAL、FORCASといったサービスで共同活用しております。
また、NewsPicksのニュースもSaaS事業で共同活用しております。NewsPicks Expertの人の知見を、NewsPicksとSPEEDA EXPERT RESEARCHで共同活用しております。
なので経済情報という明確な強みを持ち、それを共同活用しているところが我々の強みです。その経済情報を継続的に強化していくために、効率的に投資していくことが可能なビジネスモデルです。

マテリアリティ及び2022年大方針の進捗

佐久間 続いてパーパスを実現するための重要課題であるマテリアリティの進捗と、2022年の大方針の進捗に関してお話しします。この1ページで各マテリアリティの進捗をまとめております。
1番目、人の知見の循環、そのためのサービスであるNewsPicks Expertの登録者が2万人に到達しました。またNewsPicksのコミュニティ価値、発信する人の価値を高めていくことを目的に、NewsPicks編集部で長年副編集長を務めておりました、佐藤留美がコミュニティ価値を高めるための執行役員、Chief Community Officerに就任いたしました。
2番目、「異能は才能」、その進捗として、D&Iレポートの2022年版をリリースいたしました。
3番目、誰もが経済を身近に感じられる社会。その実現のために、子どもと家族のための新サービス「NewsPicks for Kids」を開始いたします。
4番目、テクノロジー・カンパニー。経済情報をユーザーに最適な形で組成していくために UB Datatechを昨年設立いたしました。それとはまた別に、経済情報をサイエンスを用いて分析し、その利用可能性を広げていく。そのための技術研究所としてUB Researchを立ち上げることを発表いたしました。
5番目、持続的なデータコンテンツマネジメントのため、UB Datatechにより、人事異動情報をリリースしております。
6番目、SaaSとメディアを融合する事業モデルをつくっていくために、NewsPicksのIDを共同活用し、ユーザベース全体が1つとなり、ユーザーの生態系をつくっていく。そのためにSPEEDAでNewsPicks IDを利用していく開発を進めております。SPEEDAの新規ユーザーは全てNewsPicks IDを利用していくということで統一しました。
7番目、気候変動への対応といたしまして、NewsPicks・SPEEDA等で気候変動問題に関連するコンテンツを多数配信しております。
佐久間 次のページから特にこの中の3つをピックアップしてお伝えしたいと思います。
まず、誰もが経済を身近に感じられる社会の実現のため「NewsPicks for Kids」の創刊ですね。これは私も大変ワクワクしておりまして、私自身の子どもにも、子ども向けの新聞をとっていますが、なかなかグローバルな視点、多様な視点を伝えていくことができるものがないなと思っていたんです。
であれば、もう自分たちでつくってしまおうと。そこで、The New York Times for Kidsと提携いたしまして、グローバルな視点、多様な視点を提供していくための子ども向けの新聞を創刊しました。
見ていただくとわかると思うんですけども、かなりワクワクするグラフィックになっています。NewsPicksのデザインを長年支えてきた櫻田が、「NewsPicks for Kids」の創刊にコミットしておりまして、デザイン面でもワクワクするような、経済を身近に感じていただけるような価値をつくっていきたいと思っております。
もちろん、これは想いだけが先行するというではなく、しっかり経済的な価値もつくっていく。経済的な価値としては、NewsPicksの既存の有料会員向けに、単価をしっかり上げていくための施策として位置づけております。
佐久間 2つ目、持続的なデータコンテンツマネジメントのための、UB Datatechによる人事異動情報のリリースですね。
私も長年データ業界にいますが、人事異動情報って難しいデータなんですね。タイムリーに届けなければならないし、定型化されてデータが取得できるものでもない。
これはUB Datatechの高いオペレーショナル・エクセレンスとテクノロジーの力を示すものだと思っています。この人事異動情報は、改正個人情報保護法にしっかり対応をしている動きでもありまして、セキュアな個人情報を責任を持って組成し、管理していく。組成した情報はすでにSPEEDAやFORCAS Salesで利用を開始しております。
佐久間 3つ目、気候変動問題に関連するオリジナルコンテンツの例ですね。我々はメディア・プラットフォームを運営しておりますので、気候変動問題に関連したコンテンツを提供し、企業の方・個人の方に具体的な行動を促していく責務があると考えております。
NewsPicksではより気候変動問題をわかりやすく、多くの方に伝えるためのコンテンツを提供しております。SPEEDAでは「排出量取引」のトレンドレポートを提供するほか、「カーボンニュートラルの現実性・経済性」を伝えていくための記事も提供しております。
佐久間 2022年の大方針の進捗についてお話します。5つございますので、順番にお話します。
1番目、SaaSの高成長事業、SPEEDA EXPERT RESEARCH、FORCAS、AlphaDrive/NewsPicksにしっかり投資していく。これは我々の長期戦略の要です。前期の進捗としては順調です。3事業を成長させるために最も重要なのは人への投資であって、特にセールスやカスタマーサクセスへの人材採用が順調に進んでおります。
2番目、SaaSの共通データへの投資を強化していく。まさに先ほどお話したUB Datatechで、成功裏に人事異動情報をリリースし、この取り組みも順調に進んでおります。
3番目、NewPicksのマーケティングに段階的に投資し、成長の再加速を目指していく。こちらは4月と、6月中旬から7月中旬にかけて2回実施しまして、詳細は次のページでご説明します。
4番目、SaaSとNewsPicksの融合、ユーザーIDの共通化を進めていく。これも先ほどお話しましたが、順調に進んでおります。残す開発はFORCASのみとなっており、順次NewsPicks IDの利用を開始していきます。
5番目、SaaSとNewsPicksの融合。NewsPicksをSaaSのマーケティングチャネルにしていく。この役割を担うのが「NewsPicks Stage.」というオンライン番組の配信事業です。これまで経済情報番組を7本配信し、SaaS事業のリードを効率的に獲得できています。また、NewsPicksの広告事業の売上にも繋がっていくので、その観点からもしっかり投資していきたいと考えております。
佐久間 NewsPicksのテレビCMに関してご報告差し上げます。簡単に申し上げますと、しっかり投資できる成功パターンが見つかったというのが、トライアルの結果です。
この決算説明会の開始前のお時間でいくつかCMを流しておりましたが、合計9本のクリエイティブをつくりました。また9本のクリエイティブに関して、訴求のテキスト等も変更しながら、また様々な時間帯や番組枠に当てていきました。そのパターンによって、数倍、数十倍と効果が違うんですよね。
その中で、どういうパターンであればNewsPicksの価値を訴求し、ユーザーが効率的に獲得できるのか。そのパターンが見えてきました。
下期に関しては、NewsPicksの無料会員を獲得するためのテレビCMは継続していきます。どういうパターンであれば効率的に獲得できるのかが見えてきたので、そのパターンに限定して、効率的に実施していきます。
より効率的に実施していくため、テレビCMにかける下期の投資額としては、上期より少なくなるということを想定しております。
来期以降テレビCMを継続して実施するかどうかは現在では未定です。継続する場合、来年はNewsPicksの黒字を出していく前提で、効率的に投資していきます。この方針は前回お話ししたことから変更ございません。
佐久間 なかなかテレビCMの効果というものがわかりづらいと思い、1ページスライドを作成いたしました。
ここに書いているように、我々がいきなり有料会員を獲得して売上貢献していくことを目指すものではなく、まず無料会員をしっかり獲得していく。そこから徐々に有料会員への転換を促したり、広告売上に貢献したりしていただく。
なので、テレビCMを実施してすぐに、売上やARRへの大きな貢献が出てくるというものではないです。
下期に実施するテレビCMの効果としては、来年以降に累積的に出てくると想定しております。ただ、テレビCMから獲得した無料会員の継続率や有料会員への転換率など、累積的な売上高に関わってくる前提の数値をモニタリングして効率的に実施していきます。
続いて、第2四半期の決算の実績に関して、CFOの千葉からご説明いたします。

2022年12月期 第2四半期実績 - 連結業績ハイライト

千葉 CFOの千葉です。四半期の業績について私からご説明いたします。
まず連結業績のハイライトになります。ARRは前年比22%増の135.7億円。売上高は前年比15%増の43.4億円。EBITDAは今回300万円の赤字で着地しております。売上成長率は第1四半期の成長率を上回り、EBITDAは赤字となりましたが、当初想定よりも少し小さい形で収まったと考えています。
事業別の内訳になりますが、SaaS事業に関しては引き続き順調でして、ARRが前年比28%成長、これは1Qの時点でも28%成長でしたので巡航速度です。
また売上高については記載の通り、前年比27%増の29.8億円。EBITDAに関しては、3.1億円、EBITDAマージンが10.4%になっています。SaaS事業の中でも高成長を続けている事業へ投資をしつつ、しっかり利益を出すというポリシーに準じて着地できたかなと考えています。
続いてNewsPicks事業です。有料会員のARRが前年比4%成長になっています。一方で売上高は前年比4%減の13.6億円。今回テレビCMを実施しましたので、EBITDAに関しては2.9億円のマイナスになっています。
売上高について第1四半期に続き、前年比減収という形で着地をしておりますが、この減収幅自体は縮小傾向にあります。下半期の再成長に向けての道筋をしっかりつくっていきたいと考えております。
千葉 続いて、当社が重要視しているARRの状況です。AD/NP、INITIALが引き続き40%以上の成長を続けておりまして、連結ベースでは135億円を超える規模にまで拡大しています。
千葉 次に、通期の業績予想に対しての進捗についてご説明します。当社の売上は積み上がっていくビジネスモデルですので、上半期よりも下半期の方が売上が大きくなる傾向にあります。ただ、例年に比べて少し進捗が芳しくないのが、足下の状況になっています。
また、売上の進捗に対して利益の進捗が強くなっています。こちらは先ほど佐久間からもありました通り、NewsPicks事業におけるテレビCMを第3四半期以降も段階的に継続しますので、年間で見ると利益ベースはガイダンスの範囲内に収まるものとご理解いただければと思います。
千葉 続いて四半期の売上推移になります。一部繰り返しになりますが、SaaS事業は非常に順調です。NewsPicks事業の広告売上の季節性等、あとは昨年に事業撤退をした影響から、NewsPicksは前四半期比でも微減になっています。
一方で、連結ベースでは前年比15%増と、第1四半期よりも成長率は加速していることをご理解いただければと思います。
千葉 続いて四半期ベースのEBITDAの推移になります。今期の大方針に則り、SaaS事業に関しても高成長事業については投資を行い、第2四半期はNewsPicks事業においてテレビCMを行いましたので、EBITDAは連結ベースで300万円の赤字となっています。
成長投資を行いつつ、足下の市況環境やリセッションへの備えも含めたコスト削減も同時に行っています。ですので、我々としては連結ベースでEBITDAをしっかり出しながら、売上の拡大を図っていくという方針に大きな変更はございません。
ただ四半期ごとに事業の状況が異なりますので、今期は四半期ベースで赤字になりえることをご理解いただければと思います。

SaaS事業

千葉 ここからSaaS事業についてご説明をしていきたいと思います。こちらは毎回お出ししているポートフォリオマネジメント方針です。この方針に則って、安定成長+高収益という事業と、高成長で投資フェーズの事業に分けて経営しています。それぞれのQ2(第2四半期)についての結果が次のスライドになります。
千葉 事業の成長性・収益性ともに、トータルで見て順調に推移していると考えています。
千葉 ARRの推移です。SaaS事業だけで28%成長、ARRの規模としては110億円を突破しています。高成長事業であるFORCAS、AD/NPに加えて、収益事業であるINITIALも高い成長を継続していることが、この積み上がりのグラフからも見ていただけるかと思います。
千葉 続いてSaaS事業の売上推移になります。まだ当社をカバーしていただいて時間が経ってない方のためにご説明をしますと、ARRとの違いは初期売上やコンサル売上のような、いわゆるリカーリングではない、継続的ではない売上がこちらには含まれています。
売上に関しても順調に拡大しており、第1四半期よりも成長率が増加したというのがポジティブなニュースかと思います。
千葉 続いてEBITDAの四半期の推移になります。半分から下が高成長事業への投資、半分から上が収益事業の収益性を表すグラフになっています。
収益事業のSPEEDA・INITIALでしっかり利益を出しつつ、高成長事業の3つに投資していることをご理解いただければと思います。
千葉 今回、初めて開示させていただくスライドになります。これまでSPEEDAサービスにおける顧客数と顧客単価というスライドを出しておりましたが、今回はSaaS事業全体の顧客社数と顧客単価を開示しています。
ちなみにこれまで開示していたSPEEDAの顧客社数と顧客単価のグラフについては、Appendixに入れていますので、そちらもチェックしていただければと思います。
SaaS事業全体としての顧客数は、6月末時点で2,538社。3つ以上のプロダクトをご利用いただいているお客様はそのうち6%に留まっています。当社のSaaS事業の戦略の1つであるクロスセルの強化に取り組んでいきますので、まだまだポテンシャルが高い状態で推移しているとご理解いただければと思います。
他方で、2プロダクト以上を使っているお客様は徐々に増えてきていまして、現在16%まで進んでいます。ここがより高まっていくと我々の競争力のベースとなっている、経済情報を共有しているところ、また開発チームが1チームにまとまっているところにレバレッジがかかってくると考えています。引き続きクロスセル率にはこだわっていきたいと思いますし、開示を継続していければなと思っております。

NewsPicks事業

千葉 続きましてNewsPicks事業に関して説明をします。ハイライトですが、NewsPicks GINZA撤退と出版事業の前年比減収を、残念ながら有料課金売上と、広告売上でカバーすることができず、トータルで考えると前年比減収という結果に、第2四半期もなってしまいました。
また、利益面に関してはテレビCMを開始している関係で、このセグメントとしては、計画通り赤字になっています。
千葉 次に有料会員におけるARRのグラフです。前年比で見ますと4%成長の25.8億円という結果になりました。
一方でグラフを見ていただきますと、前四半期比で減収しているところが気になるポイントではないかと思います。こちらに関しましては、2020年のQ2で獲得した年間契約の会員の方々の解約および昨年の同時期に実施したキャンペーンの反動が主な影響です。
また佐久間から説明させていただいた、テレビCMの効果による有料会員の増加のグラフにもあった通り、テレビCMは足下で実行していますが、まずは無料会員を獲得することになります。そこから有料化を図るため、ARR寄与という意味で言うと緩やかに寄与していきます。ですのでこの四半期末の時点では、残念ながら減少するという結果に終わったとご理解いただければ幸いです。
千葉 続いて売上の四半期の推移になります。繰り返しになりますが、事業撤退の分を既存の事業でリカバーできず、前年比で申し上げると4%のマイナスという形になっています。
千葉 続いてEBITDAについてです。テレビCMを実行したことで赤字で着地しています。実際テレビCMに関しては、Q2に含まれる4月と6月の2回に分けて実行しました。勝ちパターンが見えてきましたので、この勝ちパターンに絞って、Q3以降は実施していきたいと考えています。
続いて、今後予定している丸の内のイベントについて、この事業自体のオーナーでもある稲垣から説明いたします。
稲垣 こちらは、私が責任者として三菱地所様と一緒に進めているプロジェクトになります。三菱地所さんに出資をいただいたときにも、説明させていただいていたプロジェクトと同じものです。
日本の中心である丸の内を中心に1つの象徴となるような、日本にいいモメンタムをもたらせるようなイベントをやりたいと考え、大規模なビジネスフェスティバルという形での開催を進めている状況です。
仲通りも含めたオープンな空間を活用して、安全性もしっかりと配慮したうえで、多くのビジネスパーソンに集まっていただいて、ともに熱を生んでいくような場所にできたらと思っております。
開催時期は10月24日・25日で考えていまして、今申し上げた三菱地所をメインスポンサーとして、経産省や金融庁を後援という形で調整をしています。いろいろな方々を巻き込んで、公的な要素も入れた大規模なビジネスフェスティバルができないかと考えています。
イベント名は「CHANGE to HOPE」という名前で、「希望」を強く掲げています。今、日本に辛く悲しいニュースがいくつも届いてしまっていますが、そういったことを乗り越え、「日本にとってどんな明るい希望があるのか」を皆で議論し、より伝播していけるようなイベントを開催したいと思っております。
キーノートにはハーバード大学教授のスティーブン・ピンカーさんに来ていただけることも決まっております。そして、また今後も豪華な登壇者の方々が続々と決まってます。ぜひ皆様にもお越しいただけたら嬉しいです。
弊社として掲げているパーパスを通し、社会的意義をしっかりと成立させていきます。同時に、それなりに大きな規模のイベントであり、弊社の広告売上へのインパクトも大きなものがあります。また、SaaS製品との連携の余地も十分に見込めるものと考えています。そういう点も含めたうえで、継続的な試みとして開催していければと思っております。

第3四半期の見通しと2022年12月期第2四半期Q&A

千葉 第3四半期の見通しと、想定FAQについて簡単に触れた後に、麻生から事業説明をいたします。
まず第3四半期の見通しですけれども、NewsPicks事業の広告売上において、リセッションの影響が今後どの程度出てくるかというところが、最も読めないリスクと考えています。
なおSaaS事業においては、現時点でコロナが生じたときのようなネガティブなリスクは、我々としては今のところ想定していません。またEBITDAに関しては、当初第1四半期の決算説明会で「2Qがボトムだと想定している」ということをお伝えしていましたが、一部費用が第3四半期にずれ込んでしまったことによって、結果として第2四半期の赤字幅は想定よりも低く抑えられることになりました。
他方でその影響が第3四半期に出てしまう可能性があり、第3四半期がボトムになる可能性があると、我々としては今考えています。一方で、通期のEBITDAの計画自体には変更がありませんので、しっかり年間を通じて、この利益については管理していきたいと考えています。
千葉 次からは当社なりに想定したFAQになります。リセッションに関しては先ほど簡単に触れさせていただきました。
千葉 下から2つ目のクエスチョンのところだけ補足させていただければと思います。7月28日に開示いたしました「経産省の事業適応計画の認定を受けた」というリリースについて、補足でご説明できればと思います。
経産省が定めるポストコロナに向けた課税特例措置の認定を受けたというものでして、当社におけるポジティブなインパクトはこちらに記載の通り、繰延税金資産の追加計上による純利益へのポジティブなインパクトを見込んでいます。現状で具体的な数字については精査中ですので、合理的な見積もりが可能になったタイミングで適時開示させていただければと思っています。
続きましてAlphaDrive/NewsPicks事業のCEOの麻生から、事業説明をさせていただきます。

事業トピックス:AD/NPのご紹介

麻生 皆さん、こんにちは。AlphaDrive/NewsPicksのカンパニーCEOを担当しております、グループ執行役員の麻生 要一です。よろしくお願いします。AlphaDrive/NewsPicksというユーザベースグループ内の事業について説明させていただきます。
AlphaDrive/NewsPicks、通称AD/NPと呼んでいますが、AD/NPはイノベーション組織開発を支援する事業でございます。事業の運営形態は、2つの法人にまたがる1つのカンパニーとして運営をしております。新規事業開発支援企業であるAlphaDriveと、株式会社ニューズピックスの中にあるB2B向けのソリューション事業部門であるNewsPicks for Businessというディビジョンを統合した、2法人にまたがる1カンパニーという形態で運営をしております。
事業内容は、社員を起点とした企業のイノベーション組織開発力を強化するものです。クライアント企業様の組織力強化にあたって、トップダウンでトップマネジメントの皆さんが「さあ、会社をこうするんだ」「社員はこうやって育成するんだ」ということもありますが、我々が取り組んでいるのは、それぞれの企業の中で働く社員1人ひとりの方の内発的動機や自律性を育むことから出発します。
能力を装着し、イノベーションが生めるような組織へと体質転換を遂げていただくことに対して、様々なソリューションで支援をさせていただいている事業です。
サービス領域は大きく4つございます。この資料の、左から順にご説明していきたいと思います。まず1つ目の大きな領域が社員の自律性を育むという領域です。ここでは主にNewsPicks Enterpriseというソリューションを活用しながら、社内外のニュースを話題の起点とした学習コミュニティを、それぞれの会社の中につくって盛り上げていきます。
自律性が育まれた社員に対して次に展開していくのが左から2つ目、能力装着です。ここはいわゆる「リスキリング」的な、新しい分野の能力を社員に装着するという、人材育成の領域です。
特に我々が注力しているのは、新規事業開発能力。何もないところから新しいビジネスを創造する手法や能力を、それぞれの社員の方に身につけていただく。ここでは、NewsPicks Learningというeラーニングのプラットフォームや、新規事業開発支援に特化したSaaSであるIncubation Suiteを活用しつつ、社員の方に実践的な新規事業の学びを得ていただいております。
能力を装着した社員たちに次に支援を差し上げているのが左から3つ目、実際に新規事業を生み出す支援です。ここはそれぞれのクライアント企業様の中で新規事業開発制度を設計するコンサルティングをさせていただいたりとか、制度自体の運営や審査のアウトソースを受けたり、はたまた、その中で提案されてきた実際の新規事業プロジェクトのプロトタイピング支援をしたり、事業計画の策定支援をしたり……といった実効的な事業開発の支援を行っています。ここで活用しているプロダクトは、Incubation Suiteという新規事業開発支援に特化したSaaSでございます。
最後は、昨今こういった左の3領域を支援する中で、それぞれのクライアント企業さんの中で生まれた社員発の新規事業や新しいイノベーションプロジェクトが、次々と投資を得て実際に立ち上がる段階を迎えています。
そうやって実際に立ち上がっていく段階の事業の事業育成を支援する「アクセラレーション支援」「バーチャル出島スキーム」といって、一旦我々がクライアント企業さまの立ち上がり期の新規事業をお預かりして、育成したものをお戻しすると。そういった躯体の支援なんかも行いながら、何もないところからの事業育成というのを支援していく取り組みも始めております。
それぞれのプロダクト・サービスも活用しながら、コンサルティングやメンタリングといった人の力によるクライアント支援を、両方合わせ技で支援させていただくというのが、AlphaDrive /NewsPicksの特徴です。
麻生 いくつかあるプロダクトの中でも「主要プロダクト」と我々が現在認定している、2つのプロダクトを紹介させてください。
左側のNewsPicks Enterprise。これはソーシャル経済メディアであるNewsPicksというニュースプラットフォームの中に、それぞれのクライアント企業様の社員しかアクセスできないクローズドな空間がつくれるサービスです。
社員だけで会話ができる、社員だけが閲覧できる空間を持つことによって、安心安全な場の中で社内の文脈をフル活用した議論が展開できたり、情報共有ができたり、クローズドな機密性の高いコンテンツをあえてニュースメディア上で社内報として活用したり、といったご活用方法によって、社員の自律性を育んでいく使い方をしていただいております。
右のIncubation Suiteは、新規事業開発に特化した支援サービスでございます。新規事業開発は総合格闘技なので業務が煩雑になりがちなんですけども、新しいビジネス案のエントリーを受け付けたり、そのビジネス案を何度も書き換えていくブラッシュアップがやりやすい機能があったり、メンバーがスカウトできたり、マイルストーンが管理できたり、研修への参加者管理ができたり……といったような多面的な機能を用いることによって、それをそれぞれのクライアント企業様の中で効率的に運営していただけるような支援を差し上げるSaaSです。
麻生 このような事業の中でどんな価値が出ているのか、2つのクライアント企業様の事例をご紹介させてください。
Incubation Suiteと新規事業開発制度の運営を支援させていただいているキリンホールディングス様においては、長年運営してきている新規事業開発制度をAlphaDrive/NewsPicksで支援させていただくようになってからの2年間で、提案数が2.7倍にまで増加しています。
過去最高の盛り上がりを見せていく中で、実際に社員が育ったり、その中からいくつも未来を切り開くような事業案が創出できたりという効果を実感いただいています。
麻生 NewsPicks Enterpriseを中心として社員の自律性を育むという分野でご利用いただいている三菱重工様においては、NewsPicks Enterprise上で社員が未来に向けての対話をしつつ学習をしていくようなコミュニティをつくることによって、「ある種少し保守的な組織風土だった」とおっしゃっていました。
その空気が少しずつ変わって自立性が高い組織風土への改革が実現しつつある、そこに貢献させていただいているというような効果の実感を持っていただいております。
このような事例もたくさん創出しながら、我々AlphaDrive/NewsPicksのプロダクトや事業をあらゆる日本企業に展開していくことによって、この国の大企業の中で働く1人ひとりを元気にして、自律性を育んでイノベーションが生まれるような日本企業をつくり、日本をつくっていくことを頑張っていきたいと思っております。
以上で事業紹介とさせていただきます。引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。
司会 それではこれより質疑応答に移ります。千葉さん、進行をお願いいたします。

質疑応答

※質問の内容は、事業・サービス名を除き、原則Sli.doに記載いただいたものをそのまま転記しております。
千葉 Q&Aに関して、私の方で進行させていただきます。今16問のご質問をいただいていますので、できるだけ時間内に回答できるように、まとめるべきものはまとめて進行できればと思っています。まず最初の2つは、主に梅田の株式売却についてのご質問かと思います。あわせて読み上げ、かつ回答させていただければと思います。
Q1. 30%成長に黄色信号が出ている中で、決算前にインサイダー情報を知りうる梅田氏が株を売り抜けていることが一般株主として非常に不愉快です。佐久間氏、稲垣氏は梅田氏の敵前逃亡行為についてどう考えておられますか? 一般株主と同じように不愉快に感じているのでしょうか?
Q2. 7月の大量保有報告書で、梅田氏の持株売却が確認されています。米国進出の失敗で株主の資産を棄損させた上に、持ち株の売却を進めている同氏が、御社の取締役として経営に参画されていること自体、ガバナンス不全ではないでしょうか。御社の内実を知る同氏が売却することは、株価上昇が困難というアナウンスメント効果とみられてしまいます。
千葉 まず私から事実を一部訂正させていただいて、その後に佐久間・稲垣から一言ずつコメントをもらえればと考えています。
まず、7月27日に梅田の大量保有報告書が出ていますが、主な理由は彼の住所変更によるものです。今までアメリカにいた彼が日本に帰ってきたことに伴って提出していますので、まず株式売却を報告する目的ではないということが1つ目です。
2つ目は、このタイミングで株式を売却したのではなく、2021年の夏に売却したものを再度カウントし直しています。また我々はその間にストックオプションの行使なども進みまして、発行済み株式数も増えていますので、彼の一部ブロックトレードによる売却──それは今年でなく2021年であった、ということと、分母となる発行済み株式数が増えていることによる比率の変更によるものです。
したがって決算前の今年7月に売却したという情報は、事実無根であります。そこをまず訂正させていただければと思います。
その上で、米国の進出から、この失敗後──撤退したのは2020年11月のことですので、そのタイミングと梅田の売却について。佐久間・稲垣が当時CEOになっていたと思いますので、本件についてどう考えているか、2人からもコメントをもらえればと思います。
佐久間 私からお答えします。間違いなく、梅田はユーザベースに必要だと考えております。私個人としても、取締役会の場でも、相談して議論していくベストパートナーであると考えております。
ユーザベースは「誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」。「世界」なんですね。特に、世界に挑戦してなかなかうまくいかなかった、という経験がある梅田が継続的に我々に関わってくれることは、パーパス実現に向けて非常に重要であると考えています。
なので敵前逃亡行為ということは全くなく、梅田は引き続き我々の成長を信じてコミットしてくれております。
稲垣 佐久間が今言ってくれたことに、補足ありません。当時のブロックトレードの話は、一部の株主様から要望をいただいてお話があったものです。私宛てにも来ていたんですけど、私は当然それを受けることができません。
その中で「少しでもできることがあるか」というところで梅田がやってくれて、彼自身がその時売却ニーズがあったわけではありません。彼自身もちゃんとユーザベースの成長を信じてコミットしようという意志を持ってくれていることは、代弁させていただければと思います。
千葉 次の質問に移ります。
Q3. これだけ投資をしても売上が減るようなNP事業にCM投資を重ねていく経営戦略はいかがなものか。ある程度の売上減はやむなしとして、キャッシュを稼ぎ、他のSaaS事業へ資金を使った方が良いように思えますがいかがでしょうか
佐久間 ご質問ありがとうございます。SaaS事業に関しては、資料の中にもあるポートフォリオ方針をつくり、特に高成長が見込まれる事業に対して全力で投資をしています。
その前提で、我々はNewsPicksについても成長を信じておりますし、長期経営戦略でお話させていただいた通り、SaaS事業の中期的な成長にもNewsPicksというソーシャル経済メディアの成長は非常に重要であると考えております。現時点で、NewsPicksを「キャッシュを稼ぐもの」と位置付けていくことは考えておりません。
Q4. SaaS事業は順調とのことですが、本当でしょうか。SPEEDAの社数は、前四半期比38社しか増加しておらず、四半期で50社ペースの目線と比較すると弱い印象です。また、FORCASも前四半期比で2,500万円しか売上が増加しておらず、四半期で3,000万円以上増加していた昨年度と比較すると、やや弱含んだ印象です。
佐久間 確かにFORCASは少し弱かったですね。ただ、SaaS事業の中でいろいろバラつきがございまして、例えばINITIALや、今日は麻生が来ておりますが、AlphaDrive/NewsPicksは特に順調でした。
そのような事業ごとのバラつきがある中で、SaaS事業全体としては好調だったと考えています。FORCASに関しても四半期ごとのバラつきがある中で、40%成長ラインの回復は達成できると考えております。
Q5. 佐々木さんのPIVOTに優秀な人材や顧客を取られてしまっているのではないか? PIVOTの影響について教えて欲しい。
千葉 こちらについて私からご説明した後に、佐久間と稲垣から必要に応じて補足させていただければと思います。
実際に佐々木さんがつくったPIVOTに、当社の社員が何人か行っていますが、同じようなミッションを掲げている会社ですので、同じマーケットを広げるということで切磋琢磨していきたいと思っています。
現時点でPIVOT社に顧客を取られていることによる我々の業績悪化というところは認識していません。今後、彼らが事業を拡大していく中で、互いにマーケットを大きくしていければいいなと、我々としては考えています。
佐久間 私の感覚としては、影響はないですね。確かに人材が移動したというのはありますが、そもそも、我々はプロフェッショナルとして、いろんな人材が流動しているような業界におりますので、何か特段PIVOTさんによって大きな影響があるということは、現在全くないです。
稲垣 そうですね。業務委託メンバーが1名、退職して起業したメンバー1名が手伝っているは聞いています。それ以外では、特に話は聞いておりません。商材として競合するのは事実ですが、「この業界を盛り上げていくことを、一緒にできたらいいね」という話を健全にしている関係性ですし、影響については、佐久間が申し上げた通りかなと思っています。
Q6. SaaSとNPとでID統合を進めるとのことですが、利用者の観点で実際の利用イメージが想像できません。例えば、SPEEDAを契約した企業の従業員が(関心がないかもしれない)NPのIDを取る必要が生じるということでしょうか? 実際のUXがどうなるのかご説明ください。また、統合効果で期待されていることを教えてください。
千葉 我々の長期経営戦略の中のコアの1つになりますので、佐久間から回答させていただければと思います。
佐久間 確かにこの点はちょっとわかりにくいと思うので、補足させてください。まず、「関心がないかもしれない」って書かれていますが、私は当然SPEEDAのユーザーとたくさん話していますけど、NewsPicksのコンテンツが本当にSPEEDAのコアな価値の1つになっている。それをモバイルアプリでもアクセスしやすく届けていくと、それだけでも大きな価値があると考えております。
ただもちろん想定してるのはそこに留まらない効果でして、先ほど麻生がNewsPicks Enterpriseで「個社ごとのコメントや記事を共有するクローズな空間」という話をしましたけども、同じことがSPEEDAとNewsPicksの連携でも実現できると考えています。
SPEEDAで分析した、例えば競合企業であるとか、注目している市場の情報にアップデートがあったときに、それがモバイルでアクセスしやすい形、プッシュの形で届いていく。これは大きなユーザー価値につながると考えています。
また、SPEEDAは「ユーザーのアクセスが増えれば増えるほど、解約率が下がっていく」というのは明確な結果として出ておりまして、ユーザーとの日常の接点をNewsPicksも通じて獲得していくというのは、解約率を下げたり、ユーザー数を増やして単価を上げていくうえでも大きな効果が期待できると考えております。
千葉 続いてリセッションに関するご質問を3点ほどいただいてますので、まとめて回答させていただければと思います。
Q7. P.37にてリセッションの影響が書かれていますが、そもそも日本はリセッションなど起きていないのではないでしょうか? この程度の景気停滞でも売上や利益に影響が出るほど経営基盤が脆弱なのでしょうか?
Q8. リセッションが懸念とのことですが、かつてはニューズピックスの広告事業は不況に強いとの説明だったが、現状は弱くなっているとのことでしょうか?
Q9. 資料を拝見すると、SaaS事業についてはリセッションの影響を受けないことについて自信がお有りのように見受けられます。スタートアップ企業を含め資金調達の難易度が高まっているのは事実と思われ、そうするとマーケティング関連中心にコスト削減を進めるのは自明のように考えられるのですが、自信の背景をお聞かせ頂けますでしょうか。
千葉 SaaSとNewsPicks、あとは全体ということで回答させていただければと思います。まず今回P.37に記載させていただいた意図ですが、当然ながら現時点で日本でリセッションが起こっているという認識を、我々がしているわけではありません。
ただ先行指標としてのアメリカの状況ですとか、今後どういう環境になるかということを我々としてリスク分析した結果、そのリスクについても一応触れておいた方がいいだろうということで、今回Q&Aの方に記載をさせていただいた意図になります。
また、NewsPicksの広告事業についても、当時はQuartzとの比較で説明をさせていただいたかと思います。当時のNewsPicksの広告の構造と、今は少し変わってきています。より動画広告の比率が上がってきている中で、やはりどうしても景気への連動性は動画広告がより強く受ける可能性があると考えています。
まだ「そう見込んでいる」とまでは言っていませんが、影響が生じる可能性があるということを事前に投資家の方と共有させていただければ、という趣旨になります。
また、SaaSに関してですね。「かつてコロナが拡大したときに解約率が悪化した」ですとか、質問に記載いただいてる通り「スタートアップ企業の資金調達の難易度が高まってきて、マーケティング関連中心のコスト削減が進むのではないか」ということもあり得る想定かと思います。
ただここに対して我々は今、足下で大きな影響は受けていません。以前に比べてしっかりと解約率を低下させる仕組みもしくは体制づくりが出来ていて、新規獲得に関しても、多少の影響はあれど順調に進んでいると理解していますので、現時点でSaaS事業に関する影響がないという記載になっています。
佐久間 特にSaaSのところですね。コロナのタイミングで以前解約率が悪化してしまったので、我々としてもここは注視してしっかり対応していくと。実際、現在のところ影響は出ておりません。
SaaSについて我々に自信がある点に関しては、やはり企業様と対話していても、「もう変わらないといけない」という意識が強い企業がとても多い。DXという言葉がよく使われますが、そうやって競争環境の変化に適応できる事業体にデジタル化を通じて変わらなければならないという意識は、多くの企業が非常に強く持っている。
そこに、最先端の競争環境分析を届け、経営企画部をDXするSPEEDAですとか、営業やマーケティングをDXするFORCASですとか、その需要が非常に強いと感じております。
Q10. 潜在的な収益性について、以前あるべき営業利益率は30%だと説明されていましたが今の事業構成ではどう変化していますか?
千葉 まず、営業利益率ではなくてEBITDAマージンと訂正させていただきつつ、長期経営戦略で掲げた連結15%との関連性も含めて、佐久間から回答させていただければと思います。
佐久間 長期戦略説明会でお話しさせていただいた「2025年に15%のEBITDAマージン」の水準を現在目標にしております。
千葉 続いてテレビCMに関してご質問を3ついただいていますので、あわせて回答させていただければと思います。
Q11. TVCM放映時はたしかにAppleランキングでNPのランキングは上がっていたが、やめた途端にランキングがドカンと下げている。本当に中長期でTVCMに効果はあるのか? データがあるのであればデータをもとに効果があることを説明してほしい。現状では眉唾に思えます。
Q12. NewsPicks事業の結果を見る限り、テレビCMは費用対効果が悪いと感じてしまいます。実際は、他の広告と比べて費用対効果がいいのか悪いのかが知りたいです。
千葉 まずこの2つについて佐久間から回答させていただければと思います。
佐久間 テレビCMは放映してるタイミングがやはり一番効果が出ます。ただその後も数ヶ月、残存効果が中期的に残るということは、数字上しっかり確かめております。
また、テレビCMに関しては金額も大きいので、よりしっかりとしたガバナンスが必要だと考えておりまして、テレビCMで獲得したユーザーの有料会員転換率ですとか、継続率ですとか、そういった数値も含めて取締役会で説明し、取締役会の総意としても「テレビCMを続けていく」という理解を得ております。
「他の広告と比べて費用対効果が良いのか悪いのか」という点に関しては、シンプルに答えると「いいパターンもあるのでそこに効率的に投資をしていく」。
テレビCMが単体で効果を出す部分もありますが、Web広告と組み合わせて、Web広告の単価が下がったり、同じ単価でもリーチできるボリュームが広がったりという、組み合わせの効果がある。それを勘案して、我々はテレビCMに効率的な投資を続けていくという意思決定をしております。
千葉 次の質問に移ります。
Q13. NewsPickについて教えてください。そもそも、無料版から有料化を促すフリーミアムモデルであるならば、広告を打つ必要はないのではないでしょうか。本来、コンテンツに魅力があり、かつ無料であれば、自然とユーザーの獲得が進むはずです。
千葉 こちらについて私から回答させていただきます。ご理解の通りフリーミアムモデルではあるんですが、まず無料の会員を獲得するために、広告も含めた何らかの策を打つ必要があると考えています。
当然ながらプロピッカーの方々がSNSでシェアをしてくれて、そこからのオーガニックの流入はあります。しかしながらSNS側のアルゴリズムの変更ですとか、いろいろな外部要因によって流入が増減します。
テレビCMを実行する前から我々はオンライン広告を打ち、ユーザーを獲得するということはやっています。そこにテレビCMという新しいユーザー獲得の策を加えて、オーガニックとオンライン広告、テレビCMという3つの方法をミックスしながら、最適なやり方を模索しつつ、ユーザーの獲得を進めている状況にあります。
佐久間 補足としては、やはりNewsPicksの最大の課題が認知率にあると。我々より有料会員の数が少ないメディアでも、より認知率が高いというような状況がございます。なので、認知をテレビCMを通じて獲得することで、より効率的にユーザー獲得できる。そういう想定のもと実施しております。
千葉 次のご質問に移ります。
Q14. NewsPicksの編集長交代は、事業のテコ入れと考えていいのでしょうか。以前よりも、NewsPicks事業の伸びは確実に鈍化していると思います。
千葉 こちらについて佐久間からご回答いたします。
佐久間 テコ入れとかではないです。NewsPicksの編集長の交代については前編集長の池田とかなり長きに渡って、どういう体制が次のNewsPicksをつくり上げていくうえで最適だろうか、と議論を重ねてきて発表したという流れなので、特にテコ入れというものではなく、健全に次の世代へのバトンタッチを果たしたというものです。
これとは逆に、冒頭で説明した「コミュニティ担当役員として佐藤留美が就任する」というものは我々の明確な意思として、コミュニティ価値を強化していく、NewsPicksを通じて発信する人の価値を強化していく、という意味合いも込めた施策です。
千葉 残り2つになりましたので時間内に収めたいと思います。
Q15. TVCMについて。無料会員数がどの程度増えているのか定量的な示唆を頂けると嬉しいです。外部からは来期にならないと有料会員数での確認が難しいでしょうか? 来期ガイダンスにも投資を織り込む可能性があるならば何かしら数値がある方が好ましいかと考えます。
千葉 今回どの程度定量的な示唆を出せるかというところで、社内でも議論したんですが、今回明らかに勝ちパターンというのが見えてきましたので、これを第3四半期以降継続することで徐々に情報開示していければと思っています。
現時点で来期において投資を継続するかどうかは未定ですので、決定次第またアナウンスさせていただければと思います。
佐久間 いただいたご意見を踏まえ、どういった数値を開示していくのかをしっかり検討していきたいと思っております。
千葉 最後のご質問になります。
Q16. NPの広告事業についてリソース確保が進捗とのご説明ですが、景況悪化の悪影響を被るリスクを踏まえ、今後どの程度の成長率を巡航速度として期待していらっしゃいますでしょうか?
千葉 ここはまさに今議論してる最中ですので、佐久間の方から最後に回答させていただければと思います。
佐久間 景気悪化の悪影響を受けていると断言できるところまではまだ行っておりませんし、基本的に我々は、昨年末の長期経営戦略説明会でお話しした全体の成長イメージを引き続き持っております。もしそこに何かしら、今後の景況感の悪化等があって、変えないといけないと判断した場合にはご説明させていただきます。
司会 以上をもちまして、株式会社ユーザベース 2022年第2四半期決算説明会を終了いたします。皆様、本日はお忙しい中ご参加いただきまして、誠にありがとうございました。
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