2022/7/13

未来の体調管理は、「におい」が決め手になる？

岡 ゆづは

NewsPicks編集部 記者

スマートウォッチで、脈拍や運動量だけでなく、「におい」を定点観測する未来がやってくるかもしれない。

においは、実はデジタル化が進んでいない領域だ。

映像や音声は、ZOOMのようなツールを介して、遠くにいても簡単にやりとりできる。でも、においのような化学的な情報では、それがまだ難しい。

では、においのデジタル化が進むと、どんな未来が待っているのか。

東京大学の研究グループは、指紋や顔の代わりに、「吐く息」で個人を識別するという実証実験に成功した。

他にも遠隔医療や日々の健康チェック、果物の収穫時期の判断や動物の診察など、においというデータはさまざまな応用先が考えられている。

においが持つポテンシャルとは──。研究グループの柳田剛教授と長島一樹准教授に解説してもらった。

INDEX

• 「におい」はZOOMで分からない
• 「お母さんのにおい」ってなんだ？
• スマートウォッチで「におい」を測る
• 吐く息で、誰なのかが分かる
• コンピューターが「鼻」を手に入れる

コメント

注目のコメント

• 齊藤 三希子

  PwCコンサルティング合同会社 Director

  ・2022年07月13日

  匂いで腸内細菌の活性化度合いを可視化し、体調管理するアプリが研究開発されています。
  今後は、トイレにセンサーを設置して体調をモニタリングするのが、一般的になりそうですね。
  これからは、なんでもかんでも薬に頼る時代から、健康になることを売る時代になってきていると思います。
• 成田 久人

  元ヴェルディユース歯科医師（岩手県花巻市成田歯科医院 理事）

  ・2022年07月13日

  実際臨床をやっていると、重度歯周病患者さんはかなり特有のにおいがあり、口腔内を見る前にある程度状態が予想できる場合があります。
  これは硫化水素やメチルメルカプタンに代表される揮発性硫黄化合物によるものでかなりきついにおいです。
  
  客観的なデータを取る際に、臨床で導入されている方法はガスクロマトグラフ方式の測定が一般的で、これは一般の方が毎日の使用できるようなものではありません。
  一方で簡易的な口臭チェッカーは正確性に乏しく、記事にあるようなセンサーの繊細さに問題があるようです。
  
  患者さん自身も非常に気にされている分野ですし、臨床家としても非常に有益な情報が得られると思いますので、今後の発展を期待しております。
• 須田 桃子

  NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト

  ・2022年07月13日

  今回の「ディープな科学」のテーマは「におい」のデジタル化です。
  
  嗅覚は、視覚や聴覚と比べると、コンピューターでの再現がまだまだ難しい分野。鼻にあたるセンサーを作り、脳が行っているような膨大なにおい分子のパターン認識をコンピューターで再現する——。その試みについて、最前線にいる研究者の解説でお届けします。
  
  個人認証や日々の健康管理、遠隔医療など、幅広い応用ができそう。