(ブルームバーグ): ソフトバンクグループの幹部だった佐護勝紀氏が出資するスタートアップのサステック(東京都港区)とニトリホールディングスは共同で、太陽光発電に取り組む。サステックの丹野裕介社長が明らかにした。

丹野社長はインタビューで、ニトリの国内店舗や物流倉庫の屋根を活用し太陽光発電を行う計画だと述べた。当初は約30拠点で導入予定で、2030年度までに年間発電量を10万メガワット時に拡大する。一般家庭2万3000世帯分の年間電力使用量に相当するという。電力は店舗や倉庫の運営に使うほか、余剰電力は売電する計画だ。

22年4月から始まった再生可能エネルギーの主力化を加速させるための新制度(FIP)を活用し、自社店舗の屋根上を活用した太陽光プロジェクトとしては国内最大級。資源エネルギー庁によると、FIP制度は再エネ発電事業者が卸市場などで売電する際、その価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進するもの。

丹野社長は「再生可能エネルギーでは将来太陽光が主力となるが、設置場所が社会課題となっていた。今回の取り組みをモデルとし、屋根上、店舗などを有効活用していきたい」と述べた。

ニトリHDは、温室効果ガス排出量削減目標として30年度までに13年度比で5割削減、50年までにカーボンニュートラルの目標を掲げている。丹野社長は「今回の契約で、ニトリは安定した価格で長期に安定した電力を得ることができる」と語った。

サステックは21年6月の設立で、再エネなどの発電量の予測システムを開発・運用するサービスを展開。今年4月に約4億5000万円の資金調達を実施し、元ソフトバンクG副社長の佐護氏が出資を率いたと発表していた。

佐護氏は米ゴールドマン・サックス・グループ出身で、18年にソフトバンクGに取締役として入社。投資戦略統括チーフ・ストラテジー・オフィサー(CSO)として自己資本投資などを担当し、21年に退社した。

自然エネルギー分野では、ソフトバンクGも傘下のSBエナジーを通じて太陽光発電所を全国展開しているほか、水力、バイオマス、地熱発電事業にも取り組んでいる。

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