[24日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は24日、インフレ抑制が米連邦準備理事会(FRB)の「現在の最優先課題」だとし、そのための利上げが景気後退の引き金になる可能性は低いと述べた。

同総裁は大学で講演し「年内の中立金利到達に向けて政策を迅速に進める。FRBはできるだけ早く金利を引き上げたいと考えている。利上げを前倒しで実施することは、最終的に利上げ幅を減らすことを意味する」と述べた。

金利をどれだけ引き上げる必要があるかは、FRBがコントロールできない要因に大きく左右されるとも指摘。「供給不足が続きインフレが高止まりするようなら、もっと手を打つ必要があるだろう。状況が改善され供給が回復すればもっと少なくてもいい」とした。

いずれにせよ景気は減速し、失業率は現在の3.6%から上昇する可能性が高いとしながらも、1980年代のような痛みを伴う不況にはならず、金利上昇と成長鈍化に適応するためのコストは今回はよりスムーズになるとした。

その理由の一つは、インフレ期待が比較的安定していること、もう一つは、金利上昇により、実際に生産や雇用が減少し始める前に、モノと労働力に対する過剰需要を減らすことによってインフレが鎮静化するからだという。

「国内総生産(GDP)成長率が長期トレンドを下回り、失業率が現在の非常に低い水準から上昇はするものの、調整のコストは緩やかなものになると考えている。これは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に見舞われた緩和的経済から、引き締まった政策が完全雇用と物価安定の両方を支える経済への、比較的スムーズな移行だと考える」とした。