[17日 ロイター] -

<為替> 円が対ドルで急落した。日銀が現状の金融緩和政策を維持し、引き締めを急ぐ他の主要国中銀と一線を画したことが背景。今週は各国中銀が相次いで利上げを発表し、為替市場のボラティリティーは大きく上昇した。

日銀は16─17日に開いた金融政策決定会合で、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決めた。また、10年物国債金利0.25%での指し値オペを原則毎営業日実施すると改めて表明した。

円はこの日、対ドルで2.09%下落し134.885円。対ユーロでは1.62%下落した。15日には1ドル=135.6円と24年ぶりの安値を付けていた。

シュロスバーグ氏によると、135円台は円のテクニカルな抵抗線であり、これを突破した場合、ショートカバーが入って137─140円まで円安が進む可能性がある。

ドル指数は0.732%上昇の104.64。米国の祝日を前に、週ベースでは約0.4%の上昇となる見込み。

ユーロは対ドルで0.53%下落し、1.0496ドルとなった。

スイス中銀が想定外の利上げを行ったことはこの日も尾を引き、スイスフランは対ユーロで1.0098フランと、4月13日以来の高値を付けた。

英ポンドは0.99%下落し1.2229ドル。イングランド銀行(英中銀)の利上げを受けた上昇分をほとんど吐き出した。

リスクセンチメントに敏感な豪ドルは1.53%下落し1豪ドル=0.6938米ドル付近。

<債券> 国債利回りが今週の低水準付近で落ち着いた。今週は積極的な利上げ観測を反映し利回りが約10年ぶりの水準に上昇した後、金融引き締めで経済が受ける影響への懸念から低下するなど、波乱の展開となった。

今週は連邦準備理事会(FRB)が75ベーシスポイント(bp)の利上げを決定。1994年以来27年ぶりの大幅利上げとなった。

シーポート・グローバル・ホールディングスのマネジング・ディレクター、トム・ディ・ガロマ氏は「次回7月の会合で再度75bpの利上げが決定されるのか、それとも50bpとするのか、見極めようとする動きが出ている」と指摘。フェデラル・ファンド(FF)金利先物が織り込む7月会合の利上げ幅の確率は75bpが78%、50bpが22%。

この日はミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁が今週の75bpの利上げに支持を表明し、7月にも同規模の利上げを支持する可能性があると述べた。一方、拙速な利上げには「慎重」であるべきだとも述べた。

これを受け、国債利回りは一時上昇。アクション・エコノミクスのアナリストは「カシュカリ総裁は現在、連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っていないが、ハト派として知られているため、今回の発言には重みがあった」としている。

この日発表の経済指標では、5月の鉱工業生産指数で製造業が前月比0.1%低下。市場予想の0.3%上昇に反して低下し、経済の減速を示す結果となった。

終盤の取引で2年債利回りは3.166%。FOMC前の14日には3.456%と、2007年11月以来の高水準を付けていた。

10年債利回りは3.239%。14日には3.498%と、11年4月以来の高水準を付けていた。

2年債と10年債の利回り格差は7bp。14日は一時マイナス5bpと、逆転した。

<株式> 小幅反発して取引を終えた。ただ、週間ではここ2年間で最大の下落率を記録した。各国中銀がインフレ対応を急ぐ中、景気後退観測が高まっている。

主要3指数はいずれも3週連続の下落となった。S&P500指数は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響で急落した2020年3月以来、週ベースとして最大の下落幅を記録した。

バーデンス・キャピタル・アドバイザーズ(メリーランド州)のポートフォリオ戦略ディレクター、メーガン・ホーンマン氏は、当面、ボラティリティーは高止まりすると予想。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ幅やインフレ状況を見極める展開が続くとの見通しを示した。

週間ベースではダウ工業株30種が4.79%、S&P総合500種が5.79%、ナスダック総合が4.78%下落。

この日の上昇を主導したのは通信サービスと一般消費財。それぞれ1.31%、1.22%上昇した。

一方、今年最もパフォーマンスの良かったエネルギーは5.57%急落し、20年3月以降で最大の週間下落率となった。世界経済の減速が原油需要を圧迫するとの懸念が重しとなった。

米取引所の合算出来高は179億9000万株。直近20営業日の平均は124億2000万株。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.37対1の比率で上回った。ナスダックでも1.92対1で値上がり銘柄数が多かった。

<金先物> 3日ぶりに反落した。中心限8月物の清算値(終値に相当)は前日比9.30ドル(0.50%)安の1オンス=1840.60ドル。週間では34.90ドル(1.86%)下げた。

<米原油先物> 主要国の中央銀行の利上げによる景気後退でエネルギー需要が減少するとの懸念が強まり、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は前日比8.03ドル(6.8%)安の1バレル=109.56ドルとなった。中心限月ベースで5月12日以来1カ月ぶりの安値。8月物は7.26ドル安の107.99ドル。

ドル/円 NY終値 134.96/134.99

始値 134.66

高値 135.42

安値 134.28

ユーロ/ドル NY終値 1.0498/1.0502

始値 1.0518

高値 1.0523

安値 1.0446

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 92*09.00 3.2821%

前営業日終値 90*28.00 3.3610%

10年債(指標銘柄) 17時05分 97*00.00 3.2313%

前営業日終値 96*12.50 3.3050%

5年債(指標銘柄) 17時05分 96*24.00 3.3436%

前営業日終値 96*19.50 3.3740%

2年債(指標銘柄) 17時05分 98*23.88 3.1701%

前営業日終値 98*24.38 3.1580%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 29888.78 -38.29 -0.13

前営業日終値 29927.07

ナスダック総合 10798.35 +152.25 +1.43

前営業日終値 10646.10

S&P総合500種 3674.84 +8.07 +0.22

前営業日終値 3666.77

COMEX金 8月限 1840.6 ‐9.3

前営業日終値 1849.9

COMEX銀 7月限 2158.7 ‐29.8

前営業日終値 2188.5

北海ブレント 8月限 113.12 ‐6.69

前営業日終値 119.81

米WTI先物 7月限 109.56 ‐8.03

前営業日終値 117.59

CRB商品指数 309.0772 ‐8.0893

前営業日終値 317.1665