[パリ 9日 ロイター] - 国連食糧農業機関(FAO)は9日、肥料などの農業投入コストが膨らんでおり、農家が生産の拡大に二の足を踏む可能性があると指摘、途上国の食料安全保障に悪影響が及ぶリスクがあるとの見方を示した。

農家の投入コストを示す指数は過去最高で推移しており、過去1年間、食料価格よりも急激に値上がりしている。多くの農家にとっては実質ベースで収入が低迷することを意味する。

「市場原理による供給反応で、2022/23年度と翌年度の一段の食料価格上昇が抑制されるのではないかとの期待に水を差す形となった」としている。

投入コスト上昇の背景には、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰と供給制約がある。同時にFAOの世界食料コモディティー指数で見た食料価格は今年、過去最高を記録している。

FAOによると、食料価格の上昇で、世界の食料輸入コストは今年3%近く増加し、過去最高の1兆8000億ドルになる見通し。

ただ多くの途上国は、価格上昇を受けて食料輸入量を減らすとみられている。最貧国が輸入コスト全体を引き下げるため、輸入量を急激に減らす見通しという。

「これは食料安全保障の観点から警戒すべきサインだ。輸入業者の国際的なコスト上昇への対応が難しくなり、価格上昇に対する耐性が失われる可能性がある」と指摘した。