[東京 6日 ロイター] - 「物言う株主」のファンド出身者2人の取締役候補選任に反対する東芝の綿引万里子社外取締役は6日、取締役会の多様性と公平性、バランスを欠くと判断したと理由を説明した。報道陣の取材に応じた。東芝がファンドと締結した同意書は、他の株主との利益相反を回避する措置が徹底されていないとも訴えた。

東芝は28日の定時株主総会で取締役候補13人の選任案を諮る予定で、うち2人は主要株主のファンド、米ファラロン・キャピタル・マネジメントと米エリオット・マネジメントの幹部。東芝の指名委員会委員を務める綿引氏は2人の選任に反対し、6日公表の総会招集通知にその事実が注記された。選任案に対して指名委員会で反対が出たことを会社が公表するのは異例。

綿引氏は同日夜に報道陣に対し、「物言う株主との関係改善のため、株主の代表を取締役会に迎えることは1つの選択肢として考えていた」と語った。ただ、今回の取締役候補は、機関投資家や一般株主に、「多様性、公正のある、バランスの取れた構成であると考えてもらえないと感じたことなどから」反対することを決めたという。

その中でも、社外取締役で指名委員会委員長のレイモンド・ゼイジ氏と今井英次郎氏のファラロン関係者2人を取締役に迎えることは、「他の株主からは、アクティビスト(物言う株主)寄り、特定の株主に偏っていると見えると言わざるを得ない」と懸念を示した。

今井氏とエリオット・マネジメントのナビール・バンジー氏を迎える代わりに、現在の取締役の一部が交代することを提案したが、現実には難しい状況にあったとも明らかにした。

東芝は28日の定時株主総会で、13人の取締役候補選任案を含む2議案を諮る。