[31日 ロイター] -

<為替> ドルが幅広い通貨に対し上昇。世界的なインフレ加速を巡る懸念が強まる中、リスク選好の動きが後退し、安全資産としてドルの投資妙味が高まった。米債利回りの上昇にも追随した。

主要6通貨に対するドル指数は0.3%高の101.76。1日としては約2週間ぶりの大幅な伸びとなる勢い。年初来約6.4%上昇しているが、5月は1.4%下落と、月間としては1年ぶりの大幅な下げを記録する見通し。

バイデン米大統領は31日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長と会談。ディーズ国家経済会議(NEC)委員長によると、バイデン大統領は、FRBにインフレ対応に向けた余地と独立性を約束すると言明した。

ユーロ/ドルは0.5%下落し、5日ぶり安値を付けた。欧州連合(EU)統計局が31日発表した5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比8.1%上昇し、再び過去最高を更新した。

欧州連合(EU)が30日の首脳会議で、ロシア産石油について今年末までに90%の輸入を停止することで合意したとのニュースは、ユーロを下支えた。

オーバーナイト取引で、カナダドルは米ドルに対し、約1カ月ぶり高値となる1.2653カナダドルを付けた。ロイター調査によると、カナダ銀行(中央銀行)の6月1日の金融政策会合について、エコノミスト30人全員が50ベーシスポイント(bp)の利上げを予想している。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは1.39%高の3万1666.45ドルだった。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 利回りが大幅上昇し、ほぼ全年限で1週間ぶりの高水準に達した。過去最高を更新した5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)や良好な米経済指標を受けて、投資家がインフレリスクに再び注目した。

3月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(主要20都市)は前年同月比21.2%上昇と、伸びが前月の20.3%から加速し、過去最高を記録した。 これを受けて利回りに上昇圧力がかかった。

午後の取引では、10年債利回りは10ベーシスポイント(bp)近く上昇し2.8477%となった。

30年債利回りは8bp上昇の3.0558%。2年債利回りは4.8bp上昇の2.5464%。

この日の利回り上昇は中期ゾーンで顕著だった。5年債、7年債利回りは一時10bp超上昇した。2年債から30年債に至るまで、20年ゾーンを除き、利回りは全て1週間ぶりの高水準に達した。

しかし、5月に発表された経済指標が軟調だったことや、米国のインフレ率がピークに達した可能性があるとの見方を背景に、利回りは月間では低下した。

2年債利回りは月間で18.4bp低下。低下幅としては2020年3月以来で最大となった。10年債利回りは9.3 bp低下。月間で低下するのは21年11月以来初めてとなる。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 反落して終了。原油価格が不安定な中、市場ではインフレ動向が引き続き注目を集めているほか、FRB当局者のタカ派的な発言にも反応している。

S&Pエネルギー指数は一時上昇していたが、石油輸出国機構(OPEC)メンバーの一角が石油生産協定からロシアを一時除外する案を検討しているとの報道を受けて下げに転じた。終値は1.6%安で主要11セクターで最大の下落率となった。

バイデン米大統領は31日、FRBのパウエル議長と会談し、約40年ぶりの高水準に達しているインフレ動向について協議した。

FRBのウォラー理事は30日、インフレがしっかり抑制されるまで、毎回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で50ベーシスポイント(bp)の利上げを行うべきだとの見解を示した。

S&Pの主要セクターで上昇したのは一般消費財と通信サービスのみで、それぞれ0.8%高、0.4%高だった。個別銘柄ではアマゾン・ドット・コムとグーグル親会社アルファベットの上げが目立った。

31日の下落でS&P総合500種とダウ工業株30種は5月のパフォーマンスがほぼ横ばいとなった。ナスダック総合は月間で2%下落した。

カナダの金鉱企業ヤマナ・ゴールドは3.7%上昇。南アフリカのゴールド・フィールズが67億ドルでの同社買収で合意した。買収は全て株式交換で行う。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 対ユーロでのドル上昇が重しとなり、反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前営業日(27日)比8.90ドル(0.48%)安の1オンス=1848.40ドルだった。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 4営業日ぶり反落。EUがロシア産石油の輸入禁止で合意したことを受け、一時3カ月ぶりの高値を付けたものの、買いが一巡した後は利益確定の売りが強まり値を消した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は前営業日(27日)比0.40ドル(0.35%)安の1バレル=114.67ドル。8月物は0.32ドル安の111.91ドルだった。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 128.68/128.71

始値 127.98

高値 128.88

安値 127.98

ユーロ/ドル NY終値 1.0733/1.0737

始値 1.0694

高値 1.0746

安値 1.0680

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 96*15.00 3.0558%

前営業日終値 98*00.00 2.9760%

10年債(指標銘柄) 17時05分 100*07.00 2.8495%

前営業日終値 101*03.00 2.7490%

5年債(指標銘柄) 16時58分 99*03.00 2.8207%

前営業日終値 99*15.50 2.7360%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*28.13 2.5626%

前営業日終値 100*00.13 2.4980%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 32990.12 -222.84 -0.67

前営業日終値 33212.96

ナスダック総合 12081.39 -49.74 -0.41

前営業日終値 12131.13

S&P総合500種 4132.15 -26.09 -0.63

前営業日終値 4158.24

COMEX金 8月限 1848.4 ‐8.9

前営業日終値 1857.3

COMEX銀 7月限 2168.8 ‐40.8

前営業日終値 2209.6

北海ブレント 7月限 122.84 +1.17

前営業日終値 121.67

米WTI先物 7月限 114.67 ‐0.40

前営業日終値 115.07

CRB商品指数 316.5351 ‐3.9891

前営業日終値 320.5242