[ベルリン 23日 ロイター] - 国際労働機関(ILO)は23日公表の報告書で、今年第1・四半期の世界の労働市場の正規労働者数がコロナ禍前をなお1億1200万人下回ったとの推計を示した。中国のコロナ感染予防のロックダウン(都市封鎖)やウクライナ危機が世界経済を圧迫しているため、労働市場がコロナ禍前に戻る道が危うくなっているとした。来年にかけても世界の労働時間減少が続く可能性が高まっているとした。

報告書によると、今年の第1・四半期の世界の労働時間の減少のうち、86%が中国のロックダウンによる。さらにウクライナ危機が世界のサプライチェーン混乱を悪化させることが、今後の一段の労働時間減少につながる恐れがあるという。

ILOのライダー事務局長は記者団に対し、ILOの数字は現状ではウクライナ危機の影響をきちんと捕捉できていない可能性が高いと指摘。今年第2・四半期はコロナ禍前に比べて正規雇用が1億2300万人下回ると予測した上で、「いずれにせよ、今後の予測は労働市場の急激な悪化を反映することになる可能性が高い」と警告した。

報告書によると、エネルギー高騰とサプライチェーン問題が主因となっているインフレ高進も、労働者の所得が追いつかなければ経済と雇用の回復を停滞させるリスクがある。