インバウンド再開に罠 「中国依存」が呼ぶリスク
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タイトルが刺激的で読んだけれども「罠」といえるほどのものではない。ここで指摘されていることは、コロナ前から多かれ少なかれ言われていた。
著者の「中国」に依存しすぎるのは危険という意見はその通り。現にゼロコロナ政策を続ける中国からの訪日の回復は、他の市場以上に時間がかかることは明白だ。
一方で、欧米豪圏からリピータ含めて多くの観光客を呼ぶのは限界もある。
まず第一に、距離の制約ゆえににリピートしづらいこと。
我々日本人旅行者の多くが、フランスやイタリアに何度も行こうと思わないのと同じで、欧米の人が日本に何度も来ようとは考えずらい。
仮に日本人がイタリアに旅行をして満足度高い経験をしたとしても「また来年イタリアに行こう」と思う人は少数で、「来年はまだ行ってたことのないスペインに行こう」と考える。
もちろんマーケットを拡大することは大切だ。日本に来たいと思ってくれる人を増やすことも、満足度高めてリピートにつなげることも。ただし、かけた労力やコストに対するリターンを考慮すると、欧米より近距離のアジアを狙う方が効率的だ。
第二に、アジア圏としては欧米圏からの観光客の誘致で比較的成果を出しているタイを見習うことも大切と書いている。これもその通りだが、そう簡単ではない。
多くの欧米客が魅了するのは「タイのビーチリゾート」だ。
一方、日本にとって「ビーチリゾート」は弱点だ。
ビーチリゾート整備を強化するという国の方針もない状況で、進むとは思えないし、欧米の人たちに来てもらえるようなビーチリゾートを日本中に整備することが正しい選択なのか。
日本人にビーチリゾートでのんびり過ごす習慣がないなかで進めても、結局日本らしさのない偽物の観光地が育ってしまう。
結局、日本がどのような観光地を目指すかは、諸外国の事例も参考にしつつ、日本ならではのやり方を模索していくしかないのだ。
JNTOは訪日客のターゲットを「全方位」答えていて「全方位ってどういうことだよ!」と思っていたのだが(笑)今になると、その意味が分かる。
良くも悪くも、全ての市場が大切で、「欧米豪に特化」とも言えないし「中華圏」に絞ることもできない。
かといって「東南アジア」にフォーカスするのも違う。
だからこそ、全ての市場を狙って施策をしていかなければいけないのだろうと、この記事を読みながら改めて感じた。