2022/5/16

【異変】節約から一転。アンダー35の45%が「貯金やめます」

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INDEX
  • お金より「経験」を貯めたい
  • 若者に広がる「未来への失望」
  • 気候変動が誘発する「刹那主義」
  • 「老後の備え」に意味はあるのか
  • いま、この瞬間に投資する

お金より「経験」を貯めたい

激変する時代のなかで、大勢の「アンダー35」世代が、無難な生き方を放棄している。
かつてそうしていたように、収入の大部分を貯金に回すことをやめ、支出を増やし、自分のやりたいことや冒険的なキャリアを追求しているのだ。
『ブラウン・ガール・マガジン』の編集者であるニマルタ・ナラン(27)は、生まれてこのかたずっと「何事にも石橋をたたいて渡るタイプ」だった。しかし、昨年末に突如として「用心ばかりしながら生きるなんて、もうイヤだ」と悟ったのだという。
新型コロナウイルスが大流行している間、ナランは家族が住むバンコクに帰ることができなかった。ようやく帰省を果たしたとき、自分が立ち会えなかったイベントの多さに、彼女はあらためて愕然とした──母の50歳の誕生日、祖母の葬儀、妹の婚約式、父がいつの間にか白髪になっていたことなどだ。
「アメリカに戻ってきて、これまでとは違う生き方をしようと決めました」とナランは言う。
彼女はかねて、ニューヨークに住んでみたいと思っていた。そこで、ロサンゼルスのアパートを引き払い、3月に引っ越しをした。
コロナを機に家賃の高いNYに引っ越してきたニマルタ・ナラン(Kholood Eid for The New York Times)
さらに、家計の面でも改革を行った。コロナ前は月に2000ドルほど貯金していたが、いまはその半分ほど。残りは、家賃の高いアパート代(月600ドルも増えた)、友人との夜の外出、以前なら我慢していた小さなぜいたくなどに充てている。
「貯めたお金を経験に変えたかったんです。帰省をきっかけに、自分がいかに人生を楽しんでいなかったのか気づきました」