[東京 21日 ロイター] -

日本電産は21日、2023年3月期の連結業績(IFRS)で営業利益が前期比22.5%増の2100億円になりそうだと発表した。IBESがまとめたアナリスト22人の予想平均値2233億円には届かなかった。供給網(サプライチェーン)の混乱で安定しない自動車メーカーの生産回復がなお不透明としている。

売上高は同9.5%増の2兆1000億円、当期利益は同20.6%増の1650億円を見込んでいる。営業利益とともに、いずれも過去最高を更新する。為替の前提レートは1ドル=110円、1ユーロ=125円。

同時に発表した2022年3月期の営業利益は、前期比7.2%増の1714億円だった。車載事業は原材料価格の高騰などを受けて、第4・四半期の部門別営業損益が1億5400万円の赤字へ転落した。同事業が赤字となるのは、20年度の第1・四半期以来。

会見した永守重信会長は、前期実績を「満足できるものではない」と総括。原材料高への対応にも「(値上げの)決断に少し時間がかかり過ぎた」と話した。

一方、永守会長は工作機械事業への本格参入を表明。今後3社程度の企業買収を行い、25年度に5000億円程度の事業に育てる考えを示した。「高い収益を上げられる事業だと自信を深めている。機械事業グループは日本電産の大きな柱のひとつになる」とした。

永守会長が同日付で最高経営責任者(CEO)を兼務する人事も発表した。関潤社長はCEOの役職から外れ、最高執行責任者(COO)に就任し、車載事業の本部長を兼任する。

また、発行済み株式の0.95%に当たる550万株、500億円を上限とする自己株式の取得枠設定を決議した。