映画『ベルファスト』が9歳の少年目線で描いた、世界が分断される瞬間【今月の映画3選】(Pen Online)
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「ベルファスト」素晴らしかったが「あっ、ここで終わりなんだ」とは正直思った。
ジュード・ヒル演じる主人公の子のかわいさときたらここ十年イチくらいの感じで抱きしめたくなるうえ、ジュディ・デンチとキアラン・ハインズのお祖父ちゃんお祖母ちゃんコンビがまたイイ。孫が「あのコの隣の席に座りたいけど算数でいい点取らなきゃいけないんだ…」と言ってくるのにキアラン・ハインズのお祖父ちゃんが「お前、数字の書き方も工夫して曖昧に書くんだ、先生が『あらっ、この1はひょっとして7かしら?』というふうに、良い方の解釈をしてくれるように導くんだよ…」なんてアドバイスをするシーンが最高。
「でも算数なんだから正解は1つでしょ?」「正解が1つだったら紛争なんて起きゃせんよ…」という返しもイイ。
映画全体が古き良きハリウッド映画への憧憬とベルファストの住民コミュニティの記憶をオーヴァーラップさせた感じになっていて、学校へ行く近道になってる穴の開いた柵を見るたびに、自分が通り抜けた幼い日の道を思い出させられる気分になってくる。
そして日常が続く中で、不意に首を突っ込んでくる暴力の連鎖。記憶にとどめておきたいと思うのは、がんぜない子供たちが命を落とすような暴力が蔓延していても、なお生まれ育った地で暮らしを続けたいと考える人々の思い、その理由といったものである。故地を離れて見も知らぬ土地にやってきた人たちが【どのような重い選択をして来たのか】ということを考える一助になる映画であろうと思う。