岸田首相 “食料自給率の向上や農業の国際競争力強化を”
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日本は石油も天然ガスも鉄鉱石も飼料も肥料も輸入に依存しています。食料を自給する能力は重要ですが、石油と肥料の輸入が止まったら、自給率ほぼ100%のコメすら日本では作れません。そういう意味で、コメの自給率だけ高めても、日本の安全は守れません。
農水省が独自の基準でご丁寧にも他国の数値まで日本で計算して国際比較するカロリーベースの食料自給率は、カロリーの高いコメの生産(≒大票田の兼業農家の生産物)が付加価値の高い野菜等の生産に移れば自給率が下がり、日本の安全保障上問題だとして農業補助金をコメ農家のために引き出すに便利な仕組みです。また、多くの人が大部分は国産とのイメージを持っているはずの牛肉,豚肉,鶏肉も、カロリーベースの自給率は,それぞれ 10%,5%,7%程度とされています。それぞれのカロリーから、輸入した飼料のカロリーを差し引いて計算するからで、これもまたコメ農家が畜産業に切り替わったら食料自給率が下がったと主張できるわけ。
輸入した飼料のカロリーを畜産物から差し引いて自給率を算出するなら、コメの自給率も使用した石油と肥料のカロリー(価値)を差し引いて算出すべきですが、票田であるコメの自給率を高く見せるためそうした操作はされません。食料とエネルギーに限らず、日本が生み出す価値の多くは輸入した資源に依存しており、安全保障を考えるなら食料に限って自給率を上げても効果は限られます。
どのような状況下でも資源を買い負けない強い経済力と、海上封鎖を受けない強い外交・防衛能力を築くことが何より重要であるように思います。資源を輸入に頼らずに済む電力等の確保もまた然り。「食料自給率の向上や農業の国際競争力強化」が、カロリーベースの食料自給率に代表される、従来型の農業補助金ばら撒き策の強化を意味するのでなければ良いですが・・・ 日本の安全保障を考える上で余りにも局所に捉われ過ぎた発想と感じないでもありません。(・・;