(ブルームバーグ): 東芝が売却方針を表明した同社のエレベーター事業について、中国の美的集団、米オーチス・ワールドワイドなどの同業者が予備段階での関心を寄せている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

情報が非公開のため匿名を条件に語った複数の関係者によると、東芝エレベータの買収には提携先であるフィンランドのコネも関心を示しているほか、ドイツのTKエレベーターも買い手候補とみられている。東芝エレベータの売却額は約40億ドル(約4800億円)になる可能性があるという。

関係者によると、検討は初期段階であり、正式な売却プロセスはまだ開始されていない。東芝が東芝エレベータの売却に反対する可能性もあるという。東芝広報担当の原みどり氏は、東芝エレベータの売却プロセスの詳細については公表していないと話した。

東芝エレベータは2002年からコネと資本提携関係にあり、一時はコネ株の5%を所有していたが15年に全株を売却。一方、コネは東芝エレベータ株の20%を持ち続けている。複数の関係者はこうした関係があるために、コネが他社よりも優位に立つ可能性があると述べた。

東芝は2月、デバイス事業を分離してインフラサービスを含む東芝本体と合わせて2社分割とする案のほか、非注力事業と位置付けたエレベーター事業の売却方針を発表。22年度中に最終契約合意を目指す。

コネの広報担当は、同事業とその周辺動向を注視していると述べ、それ以上のコメントは控えた。オーチスの広報担当も具体的な取引に関するコメントを控えた。美的集団にもコメントを求めたが、返答は得られていない。

原題:Toshiba’s $4 Billion Elevator Unit Said to Attract Midea, Otis(抜粋)

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