2022/3/28

「ソニー×ネットワーク」の意外性と独創力。ビジネス版「NURO」が強い理由

NewsPicks, Inc Brand Design Head of Creative
デジタル社会形成の起爆剤となった「Windows 95」が誕生して27年。それ以来、デジタルによって世の中は変化し、今やさまざまなモノがインターネットでつながる社会になり、通信ネットワークは私たちの暮らしやビジネスに必要不可欠なインフラになった。新型コロナウイルスのまん延によってリモートワークが定着し、それを肌で感じている人も少なくないだろう。
その一方で、「つながるのが当たり前。インターネット回線はどこも同じ」という感覚で、各社のインターネット接続サービスの特徴や強みを比較して回線を選定する人は少ないはずだ。
そんな中、2020年度(20年4月〜21年3月)に前年度比40%以上の契約数を獲得した(MM総研調べ)のが、ソニーネットワークコミュニケーションズの「NURO光」。その法人版「NUROアクセス」を含む総合ICTサービス「NURO Biz」を提供しているソニービズネットワークスも急成長を遂げている。
「どこも同じ」と思われがちなインターネット接続サービスでここまで伸びる秘訣は何か。1996年からNTTやソニーでBtoBのネットワークソリューションを企画・開発し、現在はソニービズネットワークスの代表取締役執行役員社長を務めるネットワークソリューションのプロフェッショナル、小笠原康貴氏に話を聞いた。

コロナが気づかせた「インターネット=ビジネスインフラ」

──リモートワークが浸透した昨今、企業のインターネットに対する意識は変化したのでしょうか。
小笠原 クラウドの台頭によって、インターネットに対する関心は徐々に高まっていましたが、コロナ禍によって劇的に変わりました。リモートワークの普及で、インターネットの重要性に気づき、自社のインターネット回線の安定性、安全性に関心を抱く経営層は増えました。
 インターネット回線は、常に同じ速度が保たれているわけではなく、ばらつきがあります。Webサイトの閲覧やファイルのダウンロードでは気づきにくいですが、自宅からWeb会議を長時間するようになって、画面が止まったり音声が途切れたりする経験をしたことで、多くのビジネスパーソンがそれに気づいたのではないでしょうか。
 会社と自宅のハイブリットなビジネス環境が当たり前になっている中で、自宅だけでなく、会社のインターネット回線の品質も気にするようになり、「会社のインターネット回線は大丈夫なのか?」という意識が芽生えたのだと思います。インターネットが重要な「ビジネスインフラ」であることを、情報システム部門だけではなく経営層が認識してくれた印象です。

「インターネット回線はどれも同じ」ではない

──そうなると、ソニービズネットワークスのビジネスは追い風ですか。
おかげさまで、お声がけいただく機会は増えています。
──言葉を選ばずに言えば、インターネット回線の品質はどの通信キャリアのものでも同じというイメージがあります。「NURO Biz」は何が違うのでしょうか。
NURO Bizは、ソニービズネットワークスが提供している法人向け次世代ICTソリューションブランドの総称です。
この中にインターネット接続サービス「NUROアクセス」があり、そのほかにAWSの運用サービス「マネージドクラウド with AWS」やSaaS型勤怠管理システム「AKASHI」、AIによるデータ分析ソリューション「Prediction One Biz」といった周辺サービスをラインアップしています。
 ご質問はNUROアクセスの優位性だと思いますので、その点でいえば、単刀直入に言って抜群の安定性です。
──高い安定性の理由を教えてください。
他社のネットワークインフラは構造的に設備増強がしにくく、リモートワークなどで急激に増えたトラフィックに対応するのが難しいのです。
 たとえるなら、インターネットの信号をやり取りする「道路」のようなものが増えないため、トラフィックが増えれば大渋滞が起きて遅延してしまう。
 NUROアクセスのネットワークをつなぐための局舎は、1つの局舎ではなく複数の局舎とつながるようにリング構成になっています。増強する場合も新しい局舎が1つの局舎としかつながらないような設計にはしません。この冗長化した構成によって、常時安定したネットワークを維持でき、お客様にも快適な環境を提供できるのです。
──そのアーキテクチャは他の通信キャリアでは真似できないものなのですか。
いや、真似できなくはありません。ただ、各社がすでに築いたアーキテクチャを最初から見直し、設備を再構築するには膨大なコストと時間がかかります。それを今の段階から実施する決断は難しいでしょう。結果、私たちが唯一無二の存在であるわけです。
──なるほど。一つ嫌な質問をさせてください。提供エリアでみると、NUROアクセスよりもカバー範囲が広い会社もいますが、その点はいかがでしょうか。
私たちは、高品質なサービスをお客様が求めている価格で提供することを最優先に考えています。
 そのために、まずは限られたエリアの中で着実にお客様を増やしていく。その結果、機器の  調達コストが下がったり、メンテナンスなど運用効率を学習したりすることで、新たに次のエリアへ展開する際も、お客様の求める価格と高い品質を維持することができる。
 このサイクルを回していくことで、展開するすべてのエリアでお客様の期待を満たすことができると考えています。

あらゆる法人にICTソリューションを低価格で

──ソニーと聞けば、BtoCのプロダクトやサービスをイメージする人が多いと思います。
インターネット接続サービスも、「NURO」は大々的なプロモーション展開で消費者向けサービスは認知されていると思いますが、法人モデルの存在を知っている人は少ないと思います。
確かにそうかもしれませんね。ただ、私たちはインターネット接続サービスを基軸としたプラットフォーマーとしての事業基盤をすでに整備しています。
 私たちのミッションは、業種や業界、企業規模、ITリテラシーに関係なく、すべての企業がテクノロジーのメリットを享受できるプロダクトやサービスをお届けすること。
 ですので、インターネット回線やセキュリティ、クラウドというインフラサービスはもちろん、その周辺のアプリケーションサービスやAIサービスも提供しています。それらすべてに共通しているのは、知識がない人でも低コストで簡単に使えるようにしていることです。
 たとえば、今までは売り上げの予測分析をするためにAIを導入しようと考える企業は一握りしかありませんでした。なぜなら、導入には数百万円から数千万円が必要だったから。 
 でも、ソニービズネットワークスのAIサービス「Prediction One Biz」は、年間19万8000円で利用可能。私どものお客様にはワークマンさんのようなデータドリブン経営を目指しAIを活用しているお客様もいますし、使いやすさと価格帯としては、たとえば美容院や飲食店でもご利用いただけるサービスになっていると思っています。
──確かに、その価格ならどんな業種・規模の会社でもトライしやすいですね。
ほぼすべての企業がインターネット回線を使っているように、AIサービスもこの先、ほとんどの企業が活用するようになるのは間違いありません。
 私たちの仕事は、世の中の企業があらゆるICTソリューションにトライしやすい環境を作り、より多くのお客様にビジネス成長を実感いただくこと。 
 それができるのは、ビジネスには切っても切り離せない安定したインターネット回線を提供しているネットワーク事業者だからこそ。インターネット回線をベースに、すべての企業がビジネスをより成長させるために必要なソリューションを適切に提供したいと思っています。

ソニーグループの技術力や独創性をすべての法人へ

──BtoBサービスを提供しているソニービズネットワークスが、ソニーグループであることのメリットや相乗効果は何でしょうか。
振り返ると会社が設立された10年前はNUROの認知度も乏しく、営業は苦労しました。しかし「ソニーが始めた新しい通信サービス」という市場の期待に助けられました。
 現在では、多くのお客様にNUROアクセスをご利用いただきながら、さらなる課題解決のご相談をいただく機会が増えています。
 すべての企業で必要不可欠なインターネット接続サービスを展開している弊社だからこそ、業種・業界、企業規模関係なくアプローチでき、多くの企業にお客様になっていただけました。多くの企業との接点を保有することができているので、その結果、ソニーグループのBtoBテクノロジーをより多くの企業に提供できる。
 たとえば、AIによるデータ分析ソリューション「Prediction One Biz」はソニーの研究所で開発したもの。さまざまなグループ企業の技術やソリューションを弊社からお客様に届けています。
──なるほど。ソニーグループが持つBtoBソリューションを企業に届ける橋渡し役を担っているということですね。
そうです。
 加えて、私はソニーネットワークコミュニケーションズの法人サービス事業部副事業部長を兼務しています。そこではお客様ごとに個別でICTソリューリョンを開発・提供していますが、そこで開発したものが、個別ではなく広く提供できると判断できれば、商品化して弊社の商品ラインアップに加えています。
 つまり、ソニービズネットワークスはソニーグループの技術力や独創性を、すべての法人に提供できる「出口」になっていると思っていただきたいと思います。今後も「NURO Biz」のラインアップを増強し、ソニーグループの技術力をビジネスの現場に届けていきたいと思います。