(ブルームバーグ): ロシアは、ウクライナ軍事侵攻を支援してもらうため中国に軍事装備品の提供を要請した。米当局者が明らかにした。ホワイトハウスは、西側諸国によるウクライナ軍への防衛支援の取り組みを中国が損ないかねないと懸念している。

ロシアがウクライナ空爆をポーランドとの国境方向へとさらに西側地域にシフトする中で、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はロシアに警告を発したが、飛行禁止区域に関する考えに今のところ変更はないと述べた。

サリバン氏は、中国の外交を統括する楊潔篪共産党政治局員とローマで14日に会談する。ロシアによるウクライナ侵攻が始まってからでは初めてとなる米中高官の対面会談となる。

13日にはポーランドとの国境から約35キロメートルにあるウクライナ西部の軍訓練施設にロシア軍からミサイルが撃ち込まれ、数十人が死亡。キエフの郊外では戦闘が続いており、ロシア軍は首都包囲網を築くことを試みている可能性がある。黒海沿いの都市ムィコラーイウでは空爆が続き、民間人9人が死亡したと推計されている。

ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

ロシアのデフォルトでも金融危機招く可能性低い-IMF専務理事

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は13日、ロシアのデフォルト(債務不履行)がもはや「起こりそうもない事態」ではないと述べた上で、世界金融危機の引き金を引く可能性は低いとの認識を示した。

ロシア検察、IBMやマクドナルドなど米欧企業に警告

ロシアの検察当局は複数の米欧企業に対し、政府への批判や同国からの撤退計画を理由に、会社関係者の逮捕や資産差し押さえの可能性を警告した。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が13日に報じた。警告を受けた企業には、ケンタッキーフライドチキン(KFC)などを展開するヤム・ブランズやマクドナルド、IBMが含まれる。

チェルノブイリ原発への電力復旧-IAEA

国際原子力機関(IAEA)は13日、チェルノブイリ原発に電力を供給するラインを復旧させることに成功したとの報告をウクライナ当局から受けたと発表した。外部からの電力供給が途絶えた後、同原発は発電機への依存を余儀なくされ、安全面での懸念が高まっていた。

ロシアが中国に軍事支援を要請-米当局者

米当局者は、ロシアが具体的にどのような装備品の提供を中国に求めたかは明らかにしなかった。ロシアの中国との武器取引は現在、購入よりも売却の方がはるかに多いが、中国は軍の現代化を急速に進めており、この数年間ではより高度な兵器を生産するようになっている。

同当局者はバイデン政権がどのように詳細を把握したのかについて、コメントを控えた。

中国がそのようなロシアの要請に前向きに応じるかどうかは不明だ。中国はウクライナ侵攻でロシアを非難することは避けているが、停戦と解決に向けた交渉を繰り返し呼び掛けている。ロシアが2014年にクリミアを併合した際、中国は公式には中立を維持した。

EU、アブラモビッチ氏らへの制裁を協議

欧州連合(EU)はサッカーのイングランド・プレミアリーグの強豪チェルシーのオーナー、ロマン・アブラモビッチ氏らロシアの著名人十数人への制裁を協議している。ブルームバーグが確認した文書と事情に詳しい関係者の話で分かった。制裁リストはEU各国の承認が必要で、実施前に変更の可能性はある。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長が11日に貿易制限などを含むロシア制裁第4弾を予告した後、EU各国の大使らは13日に同案について協議。14日にも制裁パッケージの取りまとめを目指している。

EU、チェルシーのアブラモビッチ氏らロシア著名人への制裁協議

ドイツ財務相、ロシア産石油・ガス購入ボイコットに反対

ドイツのリントナー財務相は、ロシア産の石油・天然ガスの購入ボイコットに引き続き反対する考えを示した。独紙ターゲスシュピーゲルが13日報じた。リントナー氏が党首を務める連立与党・自由民主党(FDP)の主要メンバーは、ロシア軍のウクライナ侵攻への制裁として、制限を課すべきだと主張している。

米インフレは一段と上昇へ-エラリアン氏

アリアンツの首席経済顧問モハメド・エラリアン氏は13日、ロシアのプーチン大統領によるウクライナへの全面的な軍事侵攻による経済的影響には米国のインフレ率の一段の上昇が含まれる公算が大きいと述べた。

飛行禁止区域に関する考えに変化なし-サリバン氏

ロシア軍はポーランド国境近くのウクライナ軍訓練施設を攻撃し、補給ラインを破壊しようとしているが、サリバン米大統領補佐官は13日、ウクライナ上空の飛行禁止区域の設定の是非に関する米国の考え方に変更はないと語った。NBCの番組「ミート・ザ・プレス」で発言した。

サリバン氏はウクライナが必要とする武器や安全保障上の支援を提供する取り組みを強化すると述べ、軍事支援の追加支出について同盟国と協調していると付け加えた。

米国人ジャーナリスト、キエフ近郊で銃撃受け死亡

米国人記者で映画制作者のブレント・ルノー氏が13日、ウクライナで戦争を取材中に銃撃を受けて死亡した。複数のメディアや当局者が明らかにした。ルノー氏(50)はキエフの北にあるイルピンで銃撃された。同氏と一緒にいた別のジャーナリストも負傷。2人は車で移動していたところをロシア軍に発砲されたと、キエフ警察当局がフェイスブックで明らかにした。

ロシア、外貨準備の半分へのアクセスを失った-財務相

ロシアのシルアノフ財務相は、同国が外貨準備のほぼ半分へのアクセスを既に失っているとした上で、西側諸国による中国への圧力強化によりプーチン大統領の戦争資金が一段のリスクにさらされるとの見解を示した。

サリバン米大統領補佐官、中国外交トップ楊潔篪氏と会談へ

米国と中国は、ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まってからでは初めてとなる高官の対面会談を行う。バイデン政権は、危機を終わらせるためロシアに対する影響力を行使するよう引き続き中国に協力を求めている。ホワイトハウスによれば、サリバン大統領補佐官は、中国の外交を統括する楊潔篪共産党政治局員とローマで14日に会談する。

サリバン米大統領補佐官、中国外交トップ楊潔篪氏と14日に会談

ウクライナ南東部で2人目の市長拉致

ザポロジエ州のドニプロルドネの市長が13日の早い時間、ロシア軍に拉致された。同州知事がフェイスブックへの投稿で明らかにした。南東部での市長拉致は2人目で、欧州委員会のボレル副委員長(外交安全保障上級代表)はツイッター投稿でこれを非難した。

ロシア、南東部で指導者のすげ替え目指す

ロシアはウクライナ南東部の都市メリトポリのフェドロフ市長を11日に拉致した後、新たな指導者と「選出された人々から成る委員会」を就かせることを目指している。現職の市議会メンバーを含む地元当局者はロシア軍への協力を拒否し、住民は「メリトポリはウクライナのものだ」と唱え、抗議しているという。

ロシア軍、ポーランド国境近くの軍事施設を攻撃

ロシア軍は、ウクライナ西部のポーランドとの国境に近いリビウの軍事訓練施設をミサイルで攻撃した。この施設はロシアのウクライナ侵攻前に、北大西洋条約機構(NATO)が利用していた。地元の知事によれば、数十発のミサイル攻撃で少なくとも35人が死亡、134人が負傷した。

ウクライナ、一部食料の輸出禁止-資源保持へ

ウクライナは、ロシア軍による主要都市への爆撃が激しさを増す中、基本的な食品を数カ月分保有しており、また政府は小麦や食肉、卵など一部食料について輸出を禁止あるいは制限している。シュミハリ首相が明らかにした。同国は3月2-12日の間に4万トン規模の人道的支援を受け取ったという。

米政権、2億ドルの追加軍事支援を承認

米バイデン政権はウクライナに対する2億ドル(約235億円)の追加軍事支援を承認した。ブリンケン米国務長官が明らかにした。

ウクライナ大統領、イスラエルにメリトポリ市長解放で支援要請

ゼレンスキー大統領は12日夜のツィッターへの投稿で、イスラエルのベネット首相と電話会談を行い、「ロシアの侵攻と和平交渉の見通しについて話し合った」ことを明らかにした。大統領は「拘束されているメリトポリ市長の解放に向けて支援を要請した」という。

ロスアトム、ザポロジエ原発の完全制御計画せず

ロシアの原子力企業ロスアトムのアレクセイ・リハチョフ社長は、先にロシア軍による攻撃が報じられたザポロジエ原子力発電所で同社が運用上の支配権を握っているとの主張を否定した。国際原子力機関(IAEA)が声明で明らかにした。リハチョフ氏は、ロスアトムの専門家が同原発に派遣された事実は認めつつも、自社の「管理システム」下に置く意向についても否定したという。

「継続的に」ビデオ協議

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、ロシアとの間で「継続的な」ビデオ交渉が行われていると、ツイッターへの投稿で明らかにした。ゼレンスキー大統領はこれより先、ロシアとの交渉が以前より中身のある内容になってきた兆しがあると指摘。かつての「最後通告から変わりつつある」と述べた。これまでの戦闘でウクライナ軍では約1300人が犠牲となったが、ロシア側の死傷者はこれをさらに大きく上回るという。ロシアの犠牲者数は確認されていない。

株式取引、停止を延長

ロシア中央銀行はモスクワ証券取引所での株式取引停止を18日まで延長すると発表した。同取引は2月25日から停止されている。

ロシアと仏独首脳が会談

ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領はプーチン大統領と電話で75分間会談し、即時停戦と外交的解決をあらためて訴えた。ショルツ首相の報道官が明らかにした。ロシア大統領府の声明によればプーチン氏はこれに対し、ウクライナが住宅地に重兵器を配備し民間人を「人間の盾」にしているとして、許しがたい国際人道法違反だと非難した。

「正当な攻撃目標」

ウクライナへ兵器を搬入する西側諸国の車列は「正当な攻撃目標」になると、ロシアは警告した。ロシアの国営通信が、国営テレビで話したリャブコフ外務次官の発言として報じた。

コメルツ銀も追随

ドイツのコメルツ銀行はロシアでの新規ビジネスを停止し、既存の取引も段階的に縮小すると、広報担当者が明らかにした。2月24日の時点では、ロシアとウクライナへのエクスポージャーはここ数年で縮小しており、管理可能な規模だとしていた。

キエフ近郊の「状況緊迫」

ウクライナによれば、首都近郊の「状況は緊迫」しており、キエフの北西約20キロメートルのイルピンのほか、ホストメルの空港近くで戦闘が続いている。ロシア軍はキエフの北東でも砲撃している。また、チェルニヒウの住宅地でも砲撃があったほか、スムイでは空爆があった。南部ミコライウでも住宅地を含めて攻撃が続いている。東部ルガンスク州の当局によれば、ロシアは同州の70%を支配している。

ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスが制裁解除要請へ

ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスは国際宇宙ステーションのパートナーに、同社に対する制裁解除を要請するよう書簡で求めるとタス通信が報じた。ドミトリー・ロゴジン社長の発言を引用したタスによれば、米航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)、カナダ宇宙庁(CSA)に要請する。

米国務省が制裁対象追加

米国務省はプーチン氏に近い新興財閥(オリガルヒ)に焦点を絞ろうと、ABRマネジメントのほか、同社経営陣とつながりの深いユーリー・コバルチュク氏らのほか、ノビコムバンクの取締役4人を制裁対象に加えた。

ロシア軍、メリトポリ市長を拉致

ロシア軍は掌握したウクライナ南部メリトポリの市長を拉致した。ウクライナ外務省は声明で、戦時に民間人を人質に取ることを禁じる国際法に違反する行為だと非難した。

米、ロシア議員12人と富豪ベクセリベルク氏も制裁対象

米政権はロシア議員12人とVTB銀行の取締役、プーチン氏の報道官を務めるドミトリー・ペスコフ氏の家族を制裁対象に加えた。富豪ビクトル・ベクセリベルク氏の資産も対象。米財務省の措置には、仮想通貨を利用した制裁逃れの防止を狙った対策も含まれる。

ベラルーシにロシアが武器提供

ロシアはベラルーシに「近代的な」軍装備品を提供することで合意したと、同国国営通信社ベルタがルカシェンコ大統領の報道官を引用して報じた。同大統領がモスクワでプーチン氏と会談した後に報道官は発言したとしているが、武器の詳細には触れていない。

バイデン米大統領、ウクライナのために第3次大戦は戦わない

バイデン米大統領は第3次世界大戦に発展するまでに至っても北大西洋条約機構(NATO)加盟国の領土は守るが、ウクライナでロシアと戦うことで紛争を拡大させるリスクはとらないと言明。飛行禁止区域は設定しないとの考えも示した。

バイデン米大統領、ウクライナのために第3次大戦は戦わない

ウクライナ外相、ロシアとの交渉で前進全くない

ウクライナのクレバ外相は、ロシアとの交渉で前進は全くないと述べてプーチン大統領の発言を否定し、安全保障の確約が得られた場合のみ中立性について妥協が考えられるとの意向をあらためて示した。

10日にロシアのラブロフ外相と行った会談でも、何も前進は生まれなかったと説明。「交渉で全く前進はない。プーチン大統領が言及しているのは何のことか、自分には理解しがたい」とクレバ外相はブルームバーグテレビジョンで語った。

バイデン氏、ロシアが化学兵器使用なら深刻な代償と警告

バイデン米大統領はロシアに対し、ウクライナ戦争で化学兵器を使用すれば深刻な代償を支払わせると警告した。

ロシア経済、類いまれなスピードで悪化

ロシアがウクライナに侵攻してから2週間で、戦争がロシア経済に強いた犠牲は20年以上に及ぶプーチン政権下で最悪の景気低迷と既に肩を並べている。

国際的な制裁が足かせとなり、2年連続で拡大軌道を進んでいたロシア経済はわずか数日で反転した。ブルームバーグ・エコノミクスのナウキャストはロシアの経済生産が約2%減少したことを示唆。この落ち込みは新型コロナウイルス禍にあった2020年通年の景気縮小に並ぶ。

ロシア経済、類いまれなスピードで悪化-侵攻からわずか2週間で

原題:Ukraine Update: Russia Asking China for Military Aid, U.S. Says、Ukraine Update: Food Supplies Hold as Russia Intensifies Bombing、Ukraine Update: ‘Continuous’ Video Talks Under Way With Russia、Ukraine Update: Russia Continues to Target Sites Around Kyiv(抜粋)

©2022 Bloomberg L.P.