(ブルームバーグ): 丸井グループは8日、国内の事業会社として初めてセキュリティトークン社債(デジタル債)を公募発行すると発表した。同社のエポスカード会員向けに発行し、金利の一部をエポスポイントで支払う。

発表資料によると、年限は1年、利率は1%で1億円程度を発行する。引き受け証券会社を介して投資家に販売する従来の社債発行と異なり、今回債は丸井Gが自社ホームページを通じて直接募集する。発行のスケジュールなどは4月以降に公表する方針だ。野村証券がファイナンシャルアドバイザーを務める。

ブロックチェーン技術を活用したデジタル債は、国内では野村ホールディングス傘下の野村総合研究所が2020年に発行しているが、公募発行するのは丸井Gが初めて。今回、丸井Gはソーシャルボンド(社会貢献債)として発行し、カード会員が社会的インパクト投資に参加できる機会を提供する考えだ。

野村証によると、デジタル債の形をとることで発行会社は社債保有者を把握でき、ポイントなど金銭以外での利払いが可能になるといったメリットがある。一般的な個人向け社債と比べて社債一口当たりの金額を小口化し、管理コストを下げられることも特徴だ。顧客との関係強化を狙ったマーケティングを期待する発行会社にとって、デジタル債は有効な手段になると野村証はみている。

丸井Gはデジタル債のほか、従来型の個人投資家向け社債も社会貢献債として3月に13億円発行する予定。年限は3年で、利率の仮条件は年0.20%~0.40%とした。

2種類の社債発行を通じて調達する資金は、マイクロファイナンスを手掛ける五常・アンド・カンパニーと、クラウドファンディングサービスを提供するクラウドクレジットを通じて途上国の低所得者層向け融資などに活用する予定だ。

ソーシャルボンドの適格性についてESG評価会社のサステイナリティクスからセカンドオピニオンを取得した。ストラクチャリング・エージェントは野村証が務める。

(デジタル債の発行経緯や特徴などを加筆しました)

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