[北京 7日 ロイター] - 中国税関が7日公表したデータによると、1─2月の輸出は前年同期比16.3%増となり、昨年12月から伸びが鈍化した。春節(旧正月)休暇が影響した。アナリスト予想は上回ったが、ロシアのウクライナ侵攻を受け、世界貿易の見通しに不透明感が広がっている。

ロイターがまとめたアナリスト予想は15.0%増、昨年12月実績は20.9%増だった。

1─2月の輸入は15.5%増で、こちらも12月の19.5%増から伸びが鈍化。アナリスト予想は16.5%増だった。

1─2月の貿易黒字は1159億5000万ドル。市場予想の995億ドルを上回った。12月は944億6000万ドルだった。

1─2月の対米貿易黒字は597億7000万ドルとなった。

人民元建てでは輸出が前年同期比13.6%増、輸入は12.9%増だった。

S&Pグローバル・レーティングのアジア太平洋地域担当のチーフエコノミスト、ルイス・クジス氏は「これらの数字は好意的に受け止められるだろう。中国の輸出は高水準で、輸入も続いている」と指摘。輸出は引き続き経済成長を支える一要素だと説明した。

その上で「(ウクライナ危機による)経済への影響がどの程度続くか見極める必要がある。中国経済の規模は大きく、外的ショックを受けても成長を続けることが可能だが、輸出の伸びは影響を受ける」との見方を示した。

また、ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、Zhiwei Zhang氏は「ウクライナ危機が世界の需要に下振れリスクを与えているため、中国は2022年に今以上に内需に頼らざるを得ないだろう」と述べ、財政政策への期待が高まっていると指摘した。

中国の輸出は昨年、大半の期間を通じて予想を上回って推移したが、アナリストらは、海外の需要急増が一服し、コスト上昇が輸出業者を圧迫する中、いずれ減速するとみている。

ロシアのウクライナ侵攻や各国の対ロ制裁で世界経済を巡る懸念も浮上している。

製造業関係者やアナリストがロイターに明らかにしたところによると、ウクライナにエクスポージャーのある中国の輸出業者は出荷を遅らせている。また、ロシアと取引のある一部の製造業者は、顧客からの支払いを待った上で次回の出荷を準備するという。

Beijing Economic Operation Associationの元幹部、Tian Yun氏は、中国と欧州の貿易がウクライナ問題によって中断する可能性を指摘。

「ウクライナ危機で中国・欧州連合(EU)間の貨物列車サービスが止まったり効率が悪くなれば、欧州と中国の貿易に悪影響が及ぶ。これが最大のリスクになるだろう」と述べた。

中国国家発展改革委員会の連維良副主任は、ウクライナ危機でエネルギー価格が上昇しても、輸入業者にとってコスト問題は今後も対応可能との見方を示した。

アナリストは、エネルギーや農産物の価格上昇により輸入額は今後数カ月押し上げられるとみている。

Zhixin Investment Research Instituteのシニアリサーチャー、Chang Ran氏は、国内のインフラ投資が始まるにつれ、エネルギーのコモディティー需要は引き続き拡大するとの見通しを示した。

「ロシア・ウクライナ問題で、原油、天然ガス、小麦などの価格は一時急騰する可能性がある。輸入額は拡大するだろう」と述べた。