2022/3/9

【解説】やさしく学ぶ、「体脂肪」との上手な付き合い方 

NewsPicks, Inc. Brand Design Editor
テレワークの拡大や外出機会の減少で歩く距離や運動量が減り、体形の変化や体脂肪の増減が気になる人は少なくないだろう。しかし、多忙なビジネスパーソンには、体重管理に気を遣う余裕がないことも。忙しい現代人は、この扱いが難しい「体脂肪」をどうコントロールしていくべきなのか。生活習慣病の予防を目的に、体脂肪やコレステロールに着目した研究に取り組む佐賀大学農学部の井上奈穂准教授に、体脂肪が増えるメカニズムと適切なコントロール術について聞いた。
INDEX
  • 体脂肪の「3つの役割」
  • なぜ脂肪は蓄えられるのか
  • 体脂肪をコントロールする方法
  • 「緑茶」で体脂肪を無理なく減らそう

体脂肪の「3つの役割」

── 一般的に「体脂肪」と聞くとあまりよい印象はありませんが、そもそもどのような役割を担っているのでしょうか。
井上 人間は外部からエネルギー源を摂取しないと「生きる」ことができません。
 そのためある程度の飢餓状態に耐え、身体活動や生命活動を維持するための機能として「体脂肪」があります。食べられないときのために、エネルギー源を脂肪という形で貯蔵する役割です。
 また、体脂肪には体温を保持したり、臓器の保護をしたりするといった役割もあります。ある程度の脂肪があることで、外部の衝撃から内臓を守ることができるのです。
体脂肪の役割
1.栄養を貯蔵する
2.保温する
3.圧力や衝撃を受け止める
 加えて、そもそも体脂肪と一言で言っても、体脂肪とは私たちの身体に蓄えられた脂肪の総称で、「内臓脂肪」と「皮下脂肪」に分類することができます。
── 内臓脂肪と皮下脂肪の違いとは?
 内臓脂肪とは、胃や腸を覆っている膜に存在する脂肪です。お腹まわりを中心に蓄積します。
 腹部が出っ張ってみえるリンゴ型の体型が典型的な内臓脂肪型肥満のパターンで、男性に多くみられます。
 ただ、見た目には太っておらず、むしろ痩せているぐらいなのに、実は内臓脂肪が蓄積している「隠れ内臓脂肪型肥満」も増加傾向にあります。内臓脂肪は比較的短期間で蓄積され、その分落としやすいという特徴があります。
 一方、皮下脂肪は、皮膚のすぐ下にある皮下組織に蓄積する脂肪です。特に臀部や大腿部などの下半身につきやすいという特徴があります。
 時間をかけて徐々に蓄積される傾向があり、体温維持や内臓・骨などを保護する働きもあるため、内臓脂肪に比べて落としにくい性質があります。

なぜ脂肪は蓄えられるのか

── 余分な体脂肪は、どういうしくみで体についてしまうのでしょうか。
 食事で摂取したエネルギーが、基礎代謝や運動による活動量をオーバーすると、肝臓で中性脂肪が合成されます。
 血液中を流れる中性脂肪はエネルギーが足りなくなったときにすぐ使えるというメリットがあります。
 一方で、使われなかった分は内臓や皮下にある「脂肪細胞」に蓄積し、どんどん肥大化します。これが内臓脂肪や皮下脂肪となって蓄えられていくのです。
 ちなみに、血中の中性脂肪が増加すると、血圧が上がったり、血糖値をコントロールするインスリンの働きを抑えたりします。また血栓ができやすい状態にもなるので、生活習慣病のリスクも高まります。
── そもそも肥満とは、どういう状態を指すのですか。
 肥満度を測る目安としてはBMI(Body Mass Index)があり、25以上が肥満と定義されています。
 筋肉量が多い人などには必ずしも当てはまらないのですが、一般的には18.5〜25までが普通体重とされています。
 日本は長い間栄養欠乏に悩まされてきましたが、栄養政策などにより1955年以降、栄養欠乏症はほとんどみられなくなりました。
 しかしながら、その後しばらくは米中心の食事形態であり、高度成長期までの日本人の食事は「たくさんのご飯におかずが少し」という献立が多く、炭水化物に比べて、脂肪の摂取量が少ない状況でした。
 その後、生活が豊かになるにつれて、肉や乳製品中心の欧米型の食事が盛んに導入されました。その結果、従来の米を中心とした日本型食生活との組み合わせは、理想的な栄養バランスを日本人の食生活にもたらしました。
 例えば三大栄養素の「P=たんぱく質」「F=脂質(脂肪)」「C=炭水化物」の割合を示すPFCバランスでみると、80年代はベストに近い状態になっています。
出典:農林水産省「食料需給表」(平成23年度)
 しかしその後は、食生活の欧米化が加速し、脂肪の摂取量が増えたことでバランスが崩れてきています。
 揚げ物を食べる機会が増えたり、生クリームやチーズ、バターといった脂肪分が多い乳製品の摂取が増えたりすることで、高脂肪食になってきているのです。高脂肪食は発がんとの関連も指摘されており、肥満以外のリスクも伴います。
 現在は経済的に豊かになり、大量生産・大量消費社会になりました。豊かになったことで食生活が充実し、体脂肪が増えやすくなり、肥満の人の割合が増えていると言われています。
 しかし人類の歴史上、好きなだけ食べられるようになったのはごく最近のこと。それまでは食べられないときに備えて、エネルギーを貯蔵するための体脂肪は不可欠の存在でした。
 ただ、適切な量の脂肪は生命活動の維持に必要で、少なすぎても、多すぎても別の病気のリスクが高まってしまうので、自身で適切にコントロールすることが重要になります。

体脂肪をコントロールする方法

── 体脂肪を適切にコントロールするには、どういった方法があるのでしょうか。
 よく言われるのは食生活の見直しと適度な運動です。しかし忙しいビジネスパーソンには、栄養バランスの取れた食事を用意したり、継続して運動の時間を取ったりするのは難しいかもしれません。
 そういう人の場合まずは、自分の身体はどんな食べ物でできているのかを「意識」することが大切です。食べているもののカロリーやPFCバランスについて関心を持つことから始めましょう。
 具体的には、お惣菜や加工食品、外食チェーンのメニューなどには栄養成分の表示があるので、食べる前にエネルギー量(カロリー)をチェックしてみましょう。
写真:istock asiandelight
 摂取してよい1日のカロリーは性別や年齢、活動量などによって異なります。目安としては2000〜2400kcal程度に抑えておけば、取り過ぎになることはありません。
 たとえば、ランチにとんかつ定食を食べると、それだけで1日に摂取してよいカロリーの半分かそれ以上を摂ってしまいます。我慢するまではいかなくても、そういうことをまったく知らずに食べている状態をまず脱却することが必要です。
 カロリー表示があるものを食べるときには必ず表示を確認することを習慣づけるだけでも、自然と行動が変わってくるものです。
 習慣を変えるには、ハードルを低く設定することが大切です。例えば野菜など繊維質の多いものを先に食べたり、緑茶を一緒に摂ったりといったハードルの低い行動から習慣づけることで、食習慣の変化が期待できます。
── 井上先生は緑茶の成分の研究もされていると伺っていますが、緑茶に脂肪吸収を抑える効果があるのでしょうか。
 私は生活習慣病予防のためにコレステロールや内臓脂肪に着目した研究を行っていますが、緑茶に含まれる「ガレート型カテキン」が血中のコレステロールを低下させることや、内臓脂肪を減らす効果があることがわかってきました。
 本来、食事をして胃腸に入った脂肪は、「膵リパーゼ」という消化酵素によって分解されて体内に吸収されます。
 少し専門的な話にはなりますが、緑茶に含まれるカテキンは、遊離型とガレート型に大別できます。特に渋み成分であるガレート型カテキンは、この膵リパーゼの働きをより効果的にブロックすることがわかっています。
 脂肪の吸収に必要なプロセスである膵リパーゼによる分解が、ガレート型カテキンによって抑えられることで、脂肪の吸収が抑制され、体外に排出されるしくみです。
 実際に、食事と一緒にガレート型カテキンを摂取すると、食後の血中中性脂肪の上昇が抑制されることや、便の中の脂肪の割合が増えたことも確認されています。

「緑茶」で体脂肪を無理なく減らそう

── 日々多忙なビジネスパーソンが体脂肪をコントロールして、理想の身体を維持するために、アドバイスをお願いします。
 手っ取り早く体重を落とすだけなら、食事制限が最も短期間で高い効果が出ます。ですが、その分、制限をやめたときのリバウンドも大きくなりやすいことがわかっています。
 あまり極端なことにチャレンジするよりも、無理なく続けられる食習慣と適度な運動を、長く継続することが大切です。食べもののカロリーを意識したり、食事の際に緑茶を取り入れたりといった続けやすいことから始めてみてはいかがでしょうか。
── とはいえ食事のたびに緑茶を煎れる時間を取ることが難しい人もいると思いますが、ペットボトルのお茶でも問題ないのでしょうか。
 私は伊藤園のガレート型カテキン研究にご一緒していた経験もありますが、例えば同社が発売する「お~いお茶 濃い茶」は身体に脂肪をつきにくくする「ガレート型カテキン」を摂ることが可能です。
 「お~いお茶 濃い茶」は「心地良い渋み」や「後味のキレ」を引き出した緑茶本来の渋みの効いた味わいが特徴ですが、従来ペットボトル緑茶のカテキンは、製造工程の加熱処理の際に性質が変わってしまい、カテキンの量が減少したり、味に影響を及ぼしたりすると考えられていました。
 しかし最近の研究では、加熱処理してもガレート型カテキンの量はほとんど減らず、脂肪吸収をブロックする効果も変わらないことが明らかになりました。そのためペットボトルのお茶でも問題なく、ガレート型カテキンを摂取することが可能です。
 伊藤園はガレート型カテキン研究の先駆者としても知られていますが、その集大成でもある「お~いお茶 濃い茶」はガレート型カテキンの働きで体脂肪を減らす効果が期待できる「機能性表示食品」でもあります。
写真:伊藤園
 ただし、当然ながらガレート型カテキンはやせ薬ではないので、劇的な減量効果が期待できるわけではありません。
 毎日の習慣にすることで、身体に良い影響を与えると考えられます。
 まずは毎日の食事のおともにお茶を飲んだり、普段飲んでいるコーヒーや炭酸飲料をお茶に変えてみる日をつくったり、そうした簡単な一歩から体脂肪と向き合う習慣を作ってみることをおすすめします。
機能性表示食品:伊藤園「お~いお茶濃い茶 600ml」
機能性関与成分:ガレート型カテキン
届出表示:本品にはガレート型カテキンが含まれます。ガレート型カテキンには、体脂肪を減らす機能があることが報告されています。
一日摂取目安量:一日2本を目安に、食事と共にお飲みください。
届出番号:D404
●食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
●本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。
●本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。