2022/2/22

引く手あまたのデジタル人材。次のキャリアをどう考えるべきか

NewsPicks Brand Design Editor
 あらゆる業界でDX(デジタル・トランスフォーメーション)の必要性が叫ばれる昨今、デジタル人材は転職市場でも引く手あまただ。
 そのぶん、次のキャリアに迷う人も少なくない。
 事業会社か、コンサルティングファームか。自分の専門領域を磨くか、職能を広げるか。デジタルだけでなく、リアルのビジネスにも挑戦してみるか。多様な選択肢が考えられる。
 そんな中、さまざまな業界で経験を積んだデジタル人材が続々と入社するのが電通デジタルだ。設立から6年目で、社員数は2,000名を突破。
 デジタルマーケティング企業という印象が強い同社だが、システムやデータ基盤を構築するプラットフォーム事業、ビジネス全体を変革するコンサルティング事業にも注力している。
 なぜデジタル人材は、数ある選択肢から電通デジタルを選ぶのか。
 同社で働くことで得られるスキルや経験とは。
 電通デジタルで働く社員に話を聞いた。
INDEX
  • 「デジタルだけ」では真の顧客体験は作れない
  • 「事業会社か、コンサルか」悩んだ末の決断
  • 「マーケ×コンサル×SI」3職能を一気に磨く
  • 自由と多様性が「クリエイティビティ」を生む

「デジタルだけ」では真の顧客体験は作れない

 本当に快適な顧客体験を構築するなら、デジタル以外の知見も必要では──。
 2018年、デジタルエージェンシーでUXコンサルタントとして働く川野義則さんは葛藤していた。
 川野さんの当時の仕事は、ユーザー調査などの結果をもとに、クライアント企業のスマホアプリやWebサイトといったデジタル上のプロダクト戦略を考えること。
 だが、本当に顧客にとって良い体験を追求するならば、デジタル以外のアプローチが最適な場合もあるのでは、と考えていたのだ。
「店舗で買い物をするとき、割引やポイント還元を受けるために専用アプリのインストールを促されることがありますよね。
 ですが、お会計の直前で日常的に使わないアプリを入れるより、スムーズにポイントカードを渡して財布に入れてもらうほうが、実は快適なユーザー体験かもしれない。
 予期しないタイミングでのアプリインストールでバタバタし、ネガティブな体験が記憶に残るのは、お店にとっても利用者にとってもあまり良いことではありません。
 これは極端な例ですが、顧客体験を真剣に考えれば考えるほど、デジタルに閉じない打ち手も含めたプランニングが必要ではないかと考えたのです」(川野さん)
 一貫してIT畑やデジタル畑でキャリアを歩んできた川野さんだが、この葛藤をきっかけに、トータルでの最適解を提示できる職場を探して転職活動を始めた。
 複数の内定先から電通デジタルを選んだのは、「スケールの大きなチャレンジができそうだ」と思ったからだ。
 顧客体験プランニングを司るCX(カスタマー・エクスペリエンス)トランスフォーメーション部門で働きはじめて3年半。
 大小あわせて20以上の案件で、デジタル・リアルを問わない顧客体験のプランニングに携わった。
「電通グループということもあり、電通デジタルの案件は規模の大きなものが多い。
 Web広告やアプリローンチなどのデジタルはもちろん、イベントや、店頭でキャンペーンを行うといったオフラインでの施策や広告も含めて、広い視野で戦略を組み立てていきます。
 社内の各分野のプロとともに、本質的な顧客体験を考えられる。私が求めていた環境そのものでした」(川野さん)
 過去に担当した大型プロジェクトでは、プロダクトや施策が一定のビジネス成果を残せた上に、「使いやすい」「わかりやすい」とソーシャル上でも高評価。
 クライアントの競合他社が同様のサービスをローンチする、という想定外の反響もあった。
 転職前に思い描いた環境に身を置き、改めて気づいたのはCXの「奥深さ」だ。
「前職もCXに関わる仕事でしたが、当時は『アプリが使いやすいか』『Webサイトがわかりやすいか』などでしか顧客体験を捉えられていませんでした。
 ですが、電通デジタルに入ってより大きなプランニングに関わり、『どう世の中に知ってもらうか』『どうビジネスモデルを変える必要があるか』という視点をさらに意識するようになりました」(川野さん)
 大きな視点を持ったことで、逆説的ではあるが、顧客の「奥底にある心理」についても深く考えるようになったという。
 一見真逆のことにも思えるが、川野さんの中で、このふたつは密接につながっている。
「デジタルに閉じない、あらゆる体験を想定しなければならないからこそ、それらを貫く『コア』が必要になります。
 そして、そのコアはたいてい顧客自身も意識していないインサイトに隠されているもの。それを探り当てるイメージです。
 長くこの分野に身を置いていますが、電通デジタルでの仕事には日々新たな発見がある。キャリアを積んだ人でも成長できる環境だと実感しますね」(川野さん)

「事業会社か、コンサルか」悩んだ末の決断

 事業会社で働くか、それともコンサルで働くか。これは、デジタル人材が転職を考えた際にぶつかる難問の一つだろう。
 電通デジタルでデジタルマーケティング領域のコンサルタントとして働く井上祐奈さんも、転職前はその二択で迷っていた。
 きっかけは、8年勤めた新聞社のデジタル部門で感じた漠然とした不安だ。
「『自分が好きなサービスを広めたい』と、もともと事業会社で働くことにこだわっていました。
 ただ、長く勤めるうちに『この会社でのやり方しか知らない』ことにちょっとした焦りを感じはじめて。
 私のスキルは、会社の外に出たときにどこまで通用するのだろう、と。
 仕事でシステム開発をコンサルに発注する機会があり、一体どんな試行錯誤があってその提案をしているのか、裏側を知りたいと思ったのも大きいです」(井上さん)
 ならば、一度コンサル側に立ち、幅広いビジネス経験を積んでみよう。そう考えて、井上さんは電通デジタルの門を叩いた。
 入って驚いたのは、圧倒的な「情報量の多さ」だ。
「電通デジタルには関わる業界や扱う施策の種類が多いぶん、過去の提案書や施策の結果など、たくさんのデータがあります。
 当たり前ですが、事業会社で見ていた頃のデータ量の比ではなく、私のいる部署でさえこんなに情報があるのに、他部署も含めたら一体どんなボリュームになるのか、と圧倒されました。
 デジタルについてはある程度詳しい気持ちでいたのですが、知らないことばかりでしたね(苦笑)」(井上さん)
 はじめての転職、はじめてのクライアントワーク。
 業務上も「はじめて」の連続だったが、少しずつコンサル業務に慣れるうちに感じたのは、意外なことに事業会社との「共通点」だった。
 クライアントのサービスについて徹底的に考え抜き、マーケティング戦略を組み立て、実行する
 その本質は、事業会社にいた頃と何も変わっていない。
「電通デジタルでは戦略を描くだけでなく、広告を作ったり、システムを導入したりといった実行フェーズまで伴走するので、なおさらそう感じるのかもしれません。
 事業会社かコンサルか。今となっては、少し会社の枠組みに囚われすぎていたのかもと思います」(井上さん)
 逆に、コンサルタントとして働きはじめて芽生えたのは、「プロ意識」だ。
 これまでと、仕事内容は変わらない。しかし、クライアントの大切なお金を預かる以上、必ずベストな提案をしなくてはいけない。
「日頃から業界の最新ニュースは必ずインプットしますし、SNSなどを使って一見ビジネスに関係ないような時事ネタもチェックします。
 そして、提案するまでは本当にこれがベストなのか、と考え尽くす。
 事業会社にいた頃より、視座が一段、二段上がったように感じます。
 今はマネージャーという立場でもあるので、少しおこがましいですが、後輩には常にコンサルとしてのプロ意識を持つようアドバイスしています」(井上さん)

「マーケ×コンサル×SI」3職能を一気に磨く

 もちろん、電通デジタルにはコンサル出身者も多く在籍する。
 電通デジタルのプラットフォーム部門で働く竹内勇人さんは、前職の総合コンサルファームでデータ分析業務を担当していた。
 転職の理由は、井上さんと同じく「幅広いビジネス経験を積みたかったから」だ。
 総合コンサルティング会社での仕事は充実していたが、数年単位の大規模プロジェクトが多く、特に若手のうちは同時期に担当できるクライアントは1社のみといった場合が多い。
 いろいろな業界に触れてみたい、クライアントを横断したデータを扱ってインパクトの大きな仕事がしてみたい。
 そう考え、新卒3年目が終わるタイミングで転職活動を始めた。
「転職先の候補は、業界や分野を横断してビジネスを考えられるという意味で、デジタル広告代理店やデータプラットフォーマーなど。
 電通デジタルに決めたのは、もともと興味のあったマーケティング領域で、かつ広告戦略やキャンペーン全体の検討まで、一気通貫で担当できるからです」(竹内さん)
 竹内さんは今、電通デジタルで、転職時の希望通りクライアント・業界を横断したデータコンサルティング業務に携わっている。
 そこで感じるのは、やはり複数クライアントのデータを扱えるからこその面白さ
 1社だけが持っているデータを見ても出てきづらい、新しい分析手法やデータ活用の切り口、ユーザーインサイトなどを、データを横断的に扱いながら見つけていく。
「そのおかげで、クライアントに対して、最適な提案ができている実感があります。
 データを事業成果につなげる仕事がしたかったので、非常にやりがいを感じています」(竹内さん)
 竹内さんの業務は、データコンサルティングだけにとどまらない。
 クライアントワークと並行して、マーケティング施策を管理・分析するツールや、社内向けの業務効率改善ツールの開発などもリードしている。
 転職時は自分がツールの開発に携わるとは想定していなかったが、コンサルティング業務で得た知見をツールに落とし込み、提供していく仕事に確かな手応えを感じている。
「現場と開発、どちらにも携わっているからこそ、それぞれで得た知見をコンサルティングの中身やツール機能に還元できる。そのサイクルを回せるのが非常に面白いですね。
『マーケ×コンサル×SI(システム開発)』。3つの職能が、一気に磨かれている感覚があります。
 特に、今はデータを使ったマーケティングが業界で盛り上がりを見せているフェーズ。
 コンサルタントとして、プロダクトの開発担当として、データの力で世の中にインパクトを与えられるようチャレンジしていきたいですね」(竹内さん)

自由と多様性が「クリエイティビティ」を生む

 あらゆる業界・業種から、次々とデジタル人材が集まる電通デジタル。
 転職の経緯や、今業務で感じている魅力は三者三様だが、全員が共通して口にする特徴が「若手の抜擢」そして「自由な働き方」だ。
「転職して驚いたのは、若手の抜擢文化です。できたばかりの会社ということもあり、年齢に関係なく仕事を任せるカルチャーがある。
 20代でマネージャーになるメンバーも稀ではありません。
 そして、とにかく自由な職場です。個人の目標やコミットメントラインは決まっていますが、そこにたどり着くまでの過程は問われません」(川野さん)
 この自由な働き方の根底にあるのは、電通デジタルの「PBW(パフォーマンス・ベースド・ワーキング)」という考え方だ。
 組織全体のパフォーマンス追求という大前提のもと、組織単位、個人単位での働き方を決めることができる。
 井上さんも、自由な働き方、そこから生まれる多様性こそが、電通デジタルの強みだと感じている。
「自由な働き方があるから、多様性が生まれる。多様性があるから自由な働き方がある。
 鶏が先か卵が先という話ですが、本当にいろいろな個性を持った人が働いている会社だと思います。そして、その一人ひとりの個性が、仕事の『クリエイティビティ』につながっているんだろうな、と。
 この部分に魅力を感じる人にはぜひ、一度話を聞きに来てみてほしいですね」(井上さん)