[モスクワ 4日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は4日、北京冬季五輪開幕に合わせ訪中し、習近平国家主席と北京で会談した。北大西洋条約機構(NATO)拡大反対や台湾を巡る中国のスタンスで一致するなど、新たな戦略的な結束を鮮明にした。ウクライナ情勢などを巡り対立が深まっている欧米をけん制する狙いがあるとみられる。

プーチン氏と習氏は共同声明で、豪米英3カ国による新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に懸念を表明し、米主導のNATOの一段の拡大に反対すると明記した。

中国は、ロシアがウクライナ問題を背景に西側諸国に対し提示した安全保障に関する要求に支持を表明した。

ロシアは中国の台湾に対するスタンスを全面的に支持するとし、「ロシアは、一つの中国の原則を再確認し、台湾は不可分の中国の一部であると確認し、いかなる形の台湾独立にも反対する」とした。

声明はさらに「両国の友情に限界はなく、協力において『禁断領域』はない」と表明し、宇宙や気候変動、人工知能(AI)、インターネット制御を含む多岐にわたる分野で協力する計画を示した。

プーチン大統領は、年間100億立方メートルの天然ガスを極東から中国に供給する新たな取引も提示した。

また、ロシアの農業当局によると、中国はロシア全域から小麦と大麦の輸入を許可した。フランスなどの小麦・大麦輸出国との競争が拡大することになる。

中ロシア首脳会談で示された結束について、米ホワイトハウスのサキ報道官は、バイデン大統領は中国と独自の関係を築いているとし、冷静な反応を示した。

その上で、ロシアによるウクライナ侵攻に備え、米国はパートナー国との連携に焦点を当てているとし、「欧州における紛争が、世界中の中国の利益に影響するとわれわれは明確にしている」と述べた。