[パリ 27日 ロイター] - パリ公立病院連合(AP-HP)のトップが、新型コロナウイルスワクチン接種を拒否した人の治療に公的医療保険を適用し続けるべきかとの疑問を投げ掛け、大論争に発展している。

フランスの国民皆保険制度では、集中治療を受ける新型コロナ感染者の治療には全て公的医療保険が適用され、その金額は1日約3000ユーロ(3340ドル)で、通常は1週間から10日の治療期間となる。

AP-HPのトップであるマルタン・イルシュ氏は26日、国内のテレビに対し「われわれが他の患者の治療で大変な思いをしている一方で、それ(ワクチン)を拒否できるべきなのだろうか」と発言。医療費が膨張しており、一部の人々の無責任な行動によって他の人々に対する医療提供体制が脅かされるべきではないとの考えからこの問題を提起したと説明した。

この発言を巡り、複数の医療専門家や、アンヌ・イダルゴ・パリ市長を含む政治家らから反発の声が上がり、イルシュ氏の解任を求めるハッシュタグが国内のツイッターで立ち上がっている。一方、与党議員がこの問題は「無視できない」と発言するなど、議論が起きている。

1月半ばに公表されたIFOPの調査では、集中治療を受けることになったワクチン未接種者が費用の一部または全額を負担するのが正当と考える国民の割合は51%だった。