[ソウル 27日 ロイター] - 韓国のサムスン電子が27日発表した第4・四半期決算は、利益が過去4年間で最高となった。2022年については世界のハイテク機器需要が回復すると予想したが、サプライチェーン(供給網)問題や新型コロナウイルスが引き続き逆風になっていると警告した。

第4・四半期の営業利益は前年同期比53%増の13兆9000億ウォン(116億ドル)。半導体メモリーの堅調な販売と半導体の受託製造における利益率の向上を受けた。今月発表した会社予想の13兆8000億ウォンに沿う内容となった。

純利益は64%増の10兆8000億ウォン。売上高は24%増の76兆6000億ウォンで過去最高となった。

半導体部門の営業利益は前年同期の2倍強となる8兆8400億ウォンだった。

しかし、アナリストによると、保守的な半導体メモリー出荷、研究開発費、一時的な年末ボーナスにより、利益は市場予想を下回った。

携帯端末事業の営業利益は約9.9%増の2兆6600億ウォン。

同社は今年、半導体全般とスマートフォンの成長を見込む。ただ、非メモリー半導体の供給は引き続き逼迫するとした。

半導体メモリー事業について、IT投資拡大や新たな高性能CPU(中央演算処理装置)を背景にサーバー向け需要が増加すると予想し、携帯端末向けも第5世代移動通信システム(5G)対応モデルの広がりで需要増が見込めるとした。

同社は26日にスマホ旗艦モデルの最新機種を2月9日に発表する計画を明らかにしていた。

アナリストは新機種で携帯端末の出荷台数と収益性が押し上げられると見込んでいるが、DRAM価格がさらに下落した場合は前期との比較で利益が圧迫される可能性が高いと分析した。

モバイル事業担当のKim Sung-koo副社長は投資家向けブリーフィングで、22年には次世代の5Gスマートフォンが市場の全スマホ販売の半分以上を占めるようになると指摘。「マス層における当社の戦略は、スマホを5Gモデルに買い替えようとする人々の需要を積極的に取り込むことだ」と述べ、さらなる「グローバル・メガヒット・モデル」を追求すると付け加えた。

また、サムスンは、データセンターやハイテク機器に広く使用されているDRAMの価格が好転する可能性について、慎重ながらも楽観的な見方を示した。

メモリーチップ事業のエグゼクティブ・バイスプレジデント、ハン・ジンマン氏は「サーバーを中心とした力強い基礎的需要と、5Gモデルの拡大による堅調なモバイル需要を見込んでいる」と指摘。「一部の組織は上半期にDRAMの価格が反転すると予測している。われわれはこれが可能なシナリオだと考えている」と付け加えた。ただ、供給問題や原材料コスト、地政学的リスクは依然として不確定要素だと語った。

トレンドフォースのデータによると、第4・四半期のDRAM価格は前四半期に比べて9.5%下落。アナリストは今四半期にはさらに下落すると予想している。いつ回復するかについては見解が分かれている。

サムスンは、21年の年間設備投資額48兆2000億ウォン(401億ドル)のうち90%を半導体事業に費やしたが、22年のガイダンスについては言及を避けた。

同社はまた、依然としてM&A(合併・買収)の機会を模索していることを示唆。エグゼクティブ・バイスプレジデントのベン・スー氏は、投資家への還元について質問された際、「非自律的(インオーガニックな)成長機会に投資する能力を維持する必要がある」と述べた。