伊賀大記

[東京 25日 ロイター] - 日経平均は25日に昨年来安値を更新し、2020年12月以来の低水準に落ち込んだ。日銀はETF(上場投資信託)を購入したが、すでに「調整局面」入りしている中では効果は限定的。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めや、新型コロナウイルスのオミクロン変異株感染再拡大への警戒感が重しとなっている。

正式な定義があるわけではないが、過去52週間の高値から終値が10%下落すれば「調整局面」入りとされる。日経平均の25日の終値は2万7131円34銭。21年9月14日に付けたバブル崩壊後高値3万0795円78銭から11.8%下落しており、「調整局面」にすでに入っていることになる。

「10%下落の調整局面に入れば20%下落とされる弱気相場入りの可能性が高まるわけではない。反発するケースも多い。ただ、わかりやすく注目を集めやすい基準ではある」と、みずほ証券のエクイティ調査部シニアテクニカルアナリスト、三浦豊氏は指摘する。

世界でも「調整局面」に入ったかどうかは注目されるポイントだ。米国ではナスダック総合に続き、S&P500が10%下落するか関心を集めている。先進23カ国の1500社以上を対象とするMSCI世界株価指数は24日、一時10%を超える下落になったとして注目された。

世界的に金利が上昇する中、下げがきついのがハイテクなどグロース(成長)株だ。日本のマザーズ総合は21年2月の高値から42.3%の下落と「弱気相場」入り水準の倍以上下げている。「個人がやられており、追証で換金売りが出てるかもしれない」(国内証券)という。

投資環境が大きく悪化する中では、日銀による700億円程度のETF買いは効果が限られる。25日のTOPIXは前場段階で2.03%安。終値は1.72%安と前場よりも高かったが、日銀の買いが入ると期待された中で、日経平均は安値更新となった。

ニッセイ基礎研究所のチーフ株式ストラテジスト、井出真吾氏は「700億円規模の買いでは流れには逆らえない。この環境ではちょうちん(材料視する買い)もつきにくい。本日から始まるFOMC(米連邦公開市場委員会)で流れが変わるか注目される」と話している。

(伊賀大記 編集:久保信博)