[ワシントン 21日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は21日、インフレに対応する必要があるのは中央銀行だけでなく、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)終息に向けたワクチン接種の強化など他の政策担当者も重要な役割を担っていると述べた。

世界経済フォーラム(WEF)のオンライン討論会で、米国のインフレが経済的・社会的懸念になりつつある中、利上げ開始を示唆している米連邦準備理事会(FRB)は「責任のある行動を取っている」と指摘。中銀はデータに基づいてインフレに対応し、金融政策引き締めを明確に伝えることが重要だが、世界中でワクチン接種率を高める取り組みを強化するなど他の政策当局者による対応も重要とした。

2021年末までに人口の少なくとも40%へのワクチン接種という目標を達成したのは世界で86カ国のみとし、「何よりもまず、パンデミックと戦う重要性を認識する必要がある」と強調した。

また、インフレは各国ごとの現象であり、パンデミックが発生した20年よりも22年のほうが政策対応がより複雑になっていると言及。「もはやどこの国でも同じ政策を実施すればというわけには行かない。各国ごとで対応する必要があり、われわれの業務は一段と複雑化している」と語った。

さらに、FRBが「インフレに対応しつつも景気回復を維持するという微妙な綱渡り」に留意しているとする一方、米国の金融政策引き締めはドル建て債務を多く抱える国々に問題をもたらし、一部の国の低調な景気回復に「冷や水を浴びせる」ことになりかねないと警鐘を鳴らした。