[18日 ロイター] - 地球温暖化が冬季五輪の開催にも忍び寄っている。温暖化ガスの排出を今世紀末までに大幅に削減できなければ、過去の冬季五輪開催都市のなかで再開催できるのは札幌(1972年開催)のみ、という研究報告が18日に公表された。

ウォータールー大学を中心とする国際研究チームは、1920年代以降の気候データと将来の気候変動傾向を基に調査。サンモリッツ(スイス)やリレハンメンル(ノルウェー)は温暖化の影響で開催できる環境ではなくなると予想された。

調査によると、開催都市の2月の日中の平均気温は一貫して上昇。20年代から50年代は0.4度だったのが、60年代から90年代は3.1度に上昇し、21世紀は来月開催の北京を含めて同6.3度となる。

ウォータールー大学のダニエル・スコット教授(地理学・環境管理)はロイターに「いまの温度上昇傾向が続けば、今世紀末に環境的に再開催可能な都市は札幌のみとなる」と述べた。かつて再開催可能な都市は少なくとも21都市あったが、今世紀半ば時点で、それより少なくなる見通しという。

冬季五輪の開催都市は1924年の第1回のシャモニー(フランス)をはじめ、欧州が半数以上が占める。しかし欧州のアルプス地域は温暖化の影響が出始めている。スコット教授は、今回の研究は国際オリンピック委員会(IOC)に開催都市の選定で一段の柔軟性が必要というメッセージを送っていると述べた。

研究チームは、各国の選手やコーチにも調査。89%が変化する天候パターンが競技環境に影響を与えていると回答。気候変動が競技種目の将来に影響を及ぼすことを懸念する割合は94%だった。

スキーなど雪上スポーツの選手の衝突や負傷が増えたのは、周辺温度の上昇と雪の状態が悪いことが一因と指摘した。

過去3回の冬季五輪では、アルペンスキー、スノーボード、フリースタイルで負傷件数が最も多かった。