[ジュネーブ 10日 ロイター] - 米国とロシアによる「戦略安保対話」が10日、ジュネーブで開催された。ウクライナを中心とする欧州の安全保障に関する協議が行われたが、双方の溝は埋まらず、ロシアは米国側が受け入れられないとする要求を改めて示した。

ロシアはウクライナとの国境付近に軍隊を集結させる一方、米国が主導する北大西洋条約機構(NATO)に対し旧ソ連構成国の加盟を承認しないよう求めている。

ロシアのリャブコフ外務次官は記者団に対し「残念ながら、この問題に対するわれわれの原則的なアプローチには大きな相違がある。米国とロシアは何をすべきかについてある意味で正反対の見解を持っている」と指摘。NATOのさらなる拡大の禁止や1997年以降に加盟した中・東欧諸国でのNATOの活動停止など包括的な要求を改めて示し、ウクライナをNATOに加盟させないようにすることがロシアにとって「絶対的な必要条件」だとした。

一方、シャーマン米国務副長官は「米国にとって全く合意に達する見込みのない安全保障上の提案に対し断固抵抗する」と表明。NATO加盟への門戸を閉ざそうとする行為を認めないとしたほか、「米国との協力を望む主権国家との二国間協力を見送ることはなく、ウクライナについてウクライナ抜きで、欧州について欧州抜きで、NATOについてNATO抜きで決定することはない」と述べた。

ただ、米ロ間の問題に関するより詳細な議論を行うために近く再び会合することに前向きだとした。

欧州でのミサイル配備に関してや軍事演習の規模と範囲を制限することについて議論する余地があるとも述べ、双方が歩み寄る可能性を示唆した。

協議は明確な進展がなかったものの、友好的な雰囲気で行われたとみられる。シャーマン氏は率直な話し合いだったと指摘。リャブコフ氏は厳しかったが、プロフェッショナルな協議だったとし、米国はロシアの提案に真剣に取り組んだと語った。

リャブコフ氏は12日にブリュッセルで行われるNATO加盟国との会合と13日のウィーンでの欧州安保協力機構(OSCE)の会合後に進展の見込みについて判断するとした。

米国務省のプライス報道官は、どちらの会合でも協議の突破口が見つかることは期待できないが、米ロは会合後も今後の方向性を探るため連絡を取り合うと述べた。