岸田内閣肝いりの「賃上げ促進税制」は、賃上げを促進するか? そもそも、どんな仕組みなのか?
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税金で一時的に賃上げ原資が補填されるからといって、終身雇用が義務付けられ賃金の不利益変更が禁じられる日本で恒久的に賃金を上げる企業があるとは思えません。人手不足の中、補填があろうがなかろうが賃金を上げる企業が結果的にメリットを受けるだけに終わりそう。政策立案者が経営感覚に余程疎いか、政策効果が乏しいことを承知の上で賃上げ努力を示して国民の歓心を政治的に買おうとしているかのいずれかであるように思います。
経済が成長するなかで分配が歪んで格差が拡大した諸国と違い、日本は、経済が成長しないがゆえに中間層が等しく貧しくなって、富裕層といえども保有する財産の規模は米国辺りの金持ちと二桁ほども違うのです。再分配後のジニ係数が寧ろ下がり気味の日本で格差意識を煽って国民の歓心を買う政策は、明るい未来を築く施策として余りに筋が悪すぎます。うっかりすると日本の企業立地環境をますます悪化させ、中長期的な賃上げ余地を減らしかねないようにすら感じます。
中長期的に賃金を上げたいと政府が本気で思うなら、既得権益を持つ伝統的企業と正社員を代表する労働組合の不況を目先で買おうとも、企業に補助金を払って解雇を禁じる現在の雇用保障の仕組みを抜本的に改めて、企業は一定の解雇補償金を払うことを条件に柔軟に人員調整して良いが倒産しようとも保護しない、そのかわり企業を離れた従業員を手厚い補償で直接保護して成長産業に移動させるよう手を尽くす、という方向に舵を切ることが肝要です。北欧のフレキシュリティーもドイツを成功に導いたシュレーダー改革も背景にあるのはそうした取り組みだと思うけど、新らしい資本主義といった浮いた言葉で国民の格差意識を煽る政府の姿勢をみていると、とても無理な相談でしょう。
かくして日本は世界の成長から取り残され、賃上げは掛け声ばかりで国民がますます貧しくなってゆく・・・ (/_;)