オラクル、医療情報技術のサーナー買収発表-3兆円超の大型案件
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この買収はもちろんサーナーのAWSビジネスを自社オラクルのクラウドに鞍替えするためだけにここまでの大枚をはたいたわけではない。
俄然注目されるのはデータを本当に活用でき、マネタイズできるか。コロナ禍もあって患者のデータ量は膨れ上がっているだろう。カルテの作成やデータの抽出や入力の時間削減といった業務効率化のフェーズは過ぎたはずである。
ただデータ活用が進み、医師が患者に対する診断時間が増え、医師からの丁寧な診断を受けることによる満足度が向上といった話はまだ聞こえてこない。アップルがヘルスケア市場を企業の次の注目市場と位置付けたことを追い風にして、データの効率的管理と共有からユーザーのメリットにつながる利活用へと発展していくことを願う。なんと!ヘルスケア業界への本格参入の足掛かりということでしょうか。
サーナーが扱う電子カルテ(EHR/EMR)というのは医療機関にとっての基幹システムパッケージで、米国首位のエピック社に次ぐ第2位のシェア(25%)を持っています。これは医療データの要をおさえることを意味しています。
例えば私の現職TriNetXはグローバルな医療データ(リアルワールドデータ)プラットフォームの最大手の一つですが、メインのデータソースは各医療機関の匿名化した電子カルテデータです。
[追記]
この世界、なかなかテクノロジーだけでは成功が難しいです。そのあたりの雰囲気は下記のエピックに関する記事で感じ取ってもらえるかと思います。
デジタル医療業界の「女帝」は77歳、自称オタク、引退の予定なし
https://forbesjapan.com/articles/detail/41529/1/1/1詳しくない立場の所感として述べると、
1. オラクルとしては川下へ、顧客の事業領域の一部に踏み込んだ印象。MSFTならやらないのではないか。
2. オラクルはオンプレから自社クラウドへの移行を首尾よくすすめているものの、トップラインの成長力は見劣り。
3. 成長戦略が求められるなか、クラウド事業者に対して、成長力が期待される医療IT業界の顧客の囲い込みを失敗できない。
4. 受け身でいるよりも、川下へ切り込むという決断ではないか。
そんな気がしました。