[東京 16日 ロイター] - 財務省が16日発表した貿易統計速報によると、11月の貿易収支は9548億円の赤字となり、赤字幅はロイターが実施した予測中央値(6750億円の赤字)を上回った。貿易赤字は4カ月連続。原油高の影響で輸入実額は1979年1月以降で最大となった。

貿易収支のうち輸出は7兆3671億円で、前年同月に比べて20.5%増えた。鉄鋼や半導体製造装置、半導体電子部品などの輸出が伸びた。

地域別では、対米輸出が前年同月比10.0%増の1兆2991億円で、2カ月連続で増えた。自動車輸出はマイナス寄与だった。アジア向けは同24.7%増、中国向けは16.0%増だった。

一方、輸入は8兆3218億円に上り、これまで最大だった14年1月の8兆0470億円を上回る規模となった。前年同月との比較では43.8%の伸びだった。アラブ首長国連邦(UAE)からの原粗油輸入や、オーストラリアからの液化天然ガス、石炭輸入などがプラスに寄与した。

財務省によると、原粗油の11月輸入状況は金額ベースで前年同月比129.2%増の7205億円だった。円建ての輸入通関単価は1キロリットルあたり5万8825円となり、対前年同月伸び率はプラス111.1%となった。

輸出から輸入を差し引いた11月の貿易赤字額は、20年1月の1兆3154億円の赤字以来の大きさだった。季節調整値も4868億円の赤字で、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査部長は「輸入価格の高止まりで貿易収支(季節調整値)は当面赤字が続く可能性が高い」とみている。

農林中金総合研究所の南武志・主席研究員は「円安などで輸入品価格が上昇し、消費の回復ペースを鈍らせるリスクへの目配りが必要」としている。

*財務省の発表資料は以下のURLをクリックしてご覧ください。

http://www.customs.go.jp/toukei/latest/index.htm

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