就活生は、誰のためにリクルートスーツを着るのか?

そもそも、なぜ就活生は自分が着たい服を着て面接会場に行けないのだろうか?就活の装いをアップデートするために、まず向き合うべきはそこだなと思いました。(この課題に向き合うきっかけに関してはこちらに綴っています)
きっと就活生は、何としても内定をとりたいと思っているがゆえに、自分の着たい服よりも、企業が着てほしい服を考えるのでしょう。あるいは、多くの就活生と横並びで選考を進めることを考えると、周りと違う服装は不利だと思うのかもしれない。私も就活中は、同じような気持ちで服を選んでいました。
ただ、実際に入社をしてみると、人事担当者は、就活生がリクルートスーツであることをそこまで重視していないことがわかりました。
服装にまつわる就活生の違和感と、企業側の違和感は実は同じなのではないだろうか?
にも関わらず、固定概念や過去の慣習が邪魔をして、違和感を正せなくなっているのではと疑問に思ったので、まず就活生と人事担当者それぞれに、服装に関する意識調査を行いました。

浮き彫りになった、企業と就活生の間にある”溝”

シン・シゴト服ラボのメンバーが中心となって意識調査を実施し、最終的には全14項目のアンケートを延べ1950名の就活生と人事担当者にご協力いただけました。匿名ではあるものの、立場も業界も越えて、協力いただいたみなさまには感謝しかありません。
興味深いデータがいくつも集まりましたが、まず注目したいのは、改めて就活の「服装自由」に戸惑っている学生の多さです。
さらに、就活生は「服装自由」という言葉をそのままの意味で受け止めていないこともアンケートの結果から読み解けます。
一方、意外なのは企業側の感覚です。実は人事側は「服装自由」をそのままの意味で受け取って欲しいと考えている人が多いです。
「服装自由」の発信者側と受け手側とで、ミスコミュニケーションが生まれているのです。就活生が、必要以上に「服装自由」に困っている背景には、服装も評価の対象になるのだという意識があります。ただし、この認識も人事と就活生の間にギャップがあることが次の結果から読み解けます。
就活生からすると、服装を含めて選考の対象であると考えている方が多い一方で、実は企業側は就活生の服装をそこまで選考の対象として重視していない。
つまり、就活生と企業との間には、就活時の服装に関する認識にギャップがあるのです。そのギャップのせいで、就活生は必要以上に悩んでしまい「志望企業が好みそうな服だから」「周りの就活生が着ているから」と、自分の意思とは別の「何か」に振り回されてしまうのです。

学生と企業との間にあるギャップを埋める

就活生と企業との間に横たわる溝を埋め、就活生が今「これでいいや」と選んでいる服装を「これがいい」と主体的に選べるようにしたい。そのために、最初に取り組むべきなのは「学生と企業との間で、就活の服装に関する考え方を開示しあうこと」だと思います。
就活生の気持ちになれば、企業から「服装自由」と言われても「その言葉は建前なのでは?」と思うのは当然です。それに気づかず、採用側から「服装自由でお越しください」といくら繰り返しメッセージしても、その現状は変わりません。
企業側は就活生に対して、募集要項を介したコミュニケーションではなく、もっと自分たちの意思を伝え、就活生にとって「建前」ではなく「本音」を感じてもらう必要があるのです。
例えば、企業の社風を可視化するため、この企画に賛同いただいた企業の日常のオフィスの様子を動画にしても良いかもしれないし、業界ごとに、社員の服装を一覧にした冊子を作っても良いかもしれません。具体的な方法は「シン・シゴト服ラボ」のコミュニティメンバーと一緒に、考え、実行していきたいと思っています。(アンケート結果はコミュニティメンバー限定で公開予定

参画中のプロジェクトメンバー

コミュニケーションミスを解消する挑戦を続けたい。就活生と企業との間にある溝を埋め、「就活の装い」をアップデートする。そのための挑戦は始まったばかりです。もし、志を同じくする方がいらっしゃれば、ぜひシン・シゴト服ラボに参画ください。
コミュニティについて、さらに詳しく知りたい方はこちらへアクセスください。
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編集:山尾 真実子(シン・シゴト服ラボ編集長・青山商事)
共同編集・執筆:種石 光(NewsPicks Creations)
デザイン:遠山ゆかり