[8日 ロイター] - 米ファイザーと独ビオンテックは8日、共同開発した新型コロナウイルスワクチンについて、3回目の接種でオミクロン変異株に対しても高い効果があることが確認されたと発表した。また、同変異株を標的としたワクチンが必要になれば、来年3月に提供が可能になるとした。

ファイザー・ビオンテックは、2回の接種のみでは中和抗体の量が大きく減少したものの、3回目の接種で中和抗体の量が25倍に増えたと報告。3回目の接種を受けてから約1カ月が経過した人の血液を調査したところ、中国の武漢市で初めて検出された変異前の株に対する2回の接種と同水準の中和効果が、オミクロン株に対し3回目の接種で得られることが分かった。

ファイザーのブーラ最高経営責任者(CEO)は声明で「できるだけ多くの人がワクチンの追加接種(ブースター接種)を受けることが、感染拡大阻止に向けた最善の対策となる」と述べた。

世界保健機関(WHO)は11月26日にオミクロン株を「懸念される変異ウイルス(VOC)」に指定。WHOはオミクロン株を標的とする新たなワクチンの開発は必要ないとの見解を示しているが、ファイザー・ビオンテックはオミクロン株に対応したワクチンの提供に向けた取り組みを継続するとしている。

ビオンテックの最高医療責任者、オズレム・トゥレシ氏は会見で「2回のワクチン接種による免疫効果が減少し、回復させるために3回目の接種が必要となる可能性がある」と述べた。ただそれでも、重症化を予防する効果はあるという。

またビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者(CEO)は、オミクロン株への対応として、各国に2回目接種から3回目接種までの期間短縮を検討するよう提案。英国などが従来の6カ月から3カ月に短縮していることを指摘し、「オミクロン株の感染がさらに拡大する場合、冬季により高いレベルでの感染防止を行うにはこの方法が正しいと考えている」と述べた。

バイデン米大統領は8日、ファイザー・ビオンテックのワクチンがオミクロン変異株に対しても効果があったとの報告に対し、よいニュースだと称賛した。

一方、世界保健機関(WHO)の主任科学者ソミヤ・スワミナサン氏は8日、ファイザーのワクチンを巡り、オミクロン変異株に対する中和抗体の減少が、ワクチン効果の低減を意味するかどうかを判断するのは時期尚早だとの見解を示した。その上で、結論を急ぐことのないよう、協調した研究努力が必要だと述べた。

オミクロン株に対するワクチン効果について、ワクチンメーカーが公式に効果を発表するのは今回が初めて。米モデルナや米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)など他のメーカーも近くデータを発表するとみられている。