[マニラ 7日 ロイター] - 世界銀行は7日、今年のフィリピンの経済成長率予測を5.3%に上方修正した。9月時点の予測は4.3%だった。

今年第3・四半期の経済成長率が、厳格な新型コロナウイルス感染防止対策にもかかわらず、予想を上回ったことが背景。

来年は5.9%に加速する見通し。ただ、新型コロナ流行に伴う下振れリスクは残るとしている。

世銀のシニアエコノミスト、ケビン・チュア氏は会見で「昨年は大幅なマイナス成長だったが、フィリピン経済は回復軌道に乗っている」とし、国内の経済活動や銀行融資が上向いていると指摘した。

昨年はロックダウン(都市封鎖)の影響で9.6%のマイナス成長を記録していた。

世銀は2023年の経済成長率を5.7%と予測している。

感染再拡大のリスクはあるものの、ワクチン接種の進展で広範な経済活動の再開が可能になり、見通しを下支えする要因になるという。

世銀のブルネイ、マレーシア、フィリピン、タイのカントリーディレクターであるNdiame Diop氏は「新型コロナを巡る不透明感が依然として市場心理と投資の決断の大きな重しになっている」と述べた。

フィリピンの新型コロナ感染者は284万人、死者は4万9499人とアジアでも有数の多さとなっているが、新規感染のピークは過ぎ、制限措置の一段の解除が可能になっている。