[シドニー/ジャカルタ 1日 ロイター] - 中国がインドネシア政府に対し、南シナ海南端の海域での石油・天然ガス掘削中止を要求する異例の書簡を送っていたことが、複数の関係筋の話で分かった。同海域は両国が領有権を主張している。

インドネシアのムハンマド・ファルハン議員によると、書簡は中国の外交官がインドネシア外務省に送付。インドネシアが掘削を行っている海域は中国の領海であり、掘削を中止すべきだと主張しているという。

同議員は「掘削は中止しないと断固たる返答をした。わが国の主権だ」と述べた。

関係筋によると、中国側は繰り返し掘削の中止を要求している。

問題となっているのは、南シナ海南端の海域。インドネシアは「海洋法に関する国際連合条約」の下でインドネシアの排他的経済水域(EEZ)に該当するとして、2017年に「北ナトゥナ海」と命名した。

中国はこの命名に反発。同海域は中国が領有権を主張する「九段線」の水域内にあると訴えている。オランダ・ハーグの仲裁裁判所は2016年、「九段線」に法的な根拠がないと認定した。

ファルハン議員は「中国の外交官が海洋法上のわれわれの権利に九段線を持ち出したのは初めてで、やや危険な状態だ」と述べた。

ファルハン議員によると、中国は別の書簡で、米陸軍とインドネシア陸軍が8月に実施した合同演習「ガルーダシールド」にも抗議した。