[ソウル 25日 ロイター] - 韓国のオンラインゲームやモバイルゲーム制作業界は、非代替性トークン(NFT)と呼ばれる技術を活用したゲームで利用者を増やし、最近数週間にこうした制作会社の株価が急騰している。

NFTは、画像から動画、文書までありとあらゆるデジタル著作物に代替不可能な価値を持たせるため、ブロックチェーン上に所有証明が記録されるデータ単位。

ゲームの世界では、さまざまなキャラクター、武器、乗り物、その他プレーヤーが特定の課題をクリアするために使う各種アイテムをNFTとすることができる。NFTは仮想通貨(暗号資産)をはじめとするデジタル通貨で取引可能な点が強みで、ゲーム業界の未来を託する存在ともみられている。

ただ、韓国の規制当局は、いわゆるNFTゲームを国内で禁止している。10代やもっと年齢が下の子どものギャンブル中毒を助長するとの懸念からで、今のところこうしたゲームは韓国国外でしか利用できない。

韓国のゲーム評価・管理委員会のある高官は、ロイターに「われわれが禁じているのはブロックチェーン技術ではない。われわれがノーと言いたいのは、実物資産と結び付け得るNFTの採用だ」と述べた。

それでも当局の規制は、韓国のゲーム制作会社、Wemade(ウィーメイド)が今年8月下旬にNFTゲーム「MIR4(ミル4)」を全世界でリリースするのを止めることができなかった。

ミル4は韓国国外で130万人を超えるプレーヤーを獲得し、発売以降に同社の株価は600%余り跳ね上がって、時価総額は6兆6000億ウォン(55億5000万ドル)と11倍に膨らんだ。

世界全体を見渡しても、NFTゲームは急速に人気を高めつつある。ベトナムの新興企業・スカイメイビスが開発した「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」のプレーヤー数は180万人。8月時点で1日当たりの取引規模は3300万ドル相当だという。

ミル4の場合、今のところプレーヤーは、武器やキャラクターの能力を強化するための主なゲームリソース「ダーク・スティール」を採掘することでしか利益を得られない。ダーク・スティールは最終的に上場仮想通貨・WEMIX(ウィーミックス)と交換可能だ。

ウィーメイドの広報チーム責任者、アン・ヤング氏はロイターに対し、武器や宝石などゲームで獲得したアイテムやキャラクターの取引も、近く同社のプラットフォームXDRACO上でできるようになると説明。来年には新たなNFTゲーム「ライズ・オブ・スターズ」も発売する態勢だと付け加えた。

コインマーケットキャップによると、今年初め0.21ドルだったウィーミックスは過去24時間、17.50-21.64ドルで推移している。

<新たに生まれた価値>

韓国国内で規制のハードルがあるにもかかわらず、別のゲーム制作会社もNFTゲームの人気にあやかる形でひと稼ぎを狙っている。

今月になってNCソフトが、NFTとブロックチェーンの要素を含むゲームを来年発売する準備を進めていると表明。株価はこの計画が最初に明らかになった11日、1日の値幅制限いっぱいの30%の上昇率を記録した。

大人気ゲーム「プレイヤーアンノウンズ・バトルグラウンド」を手掛けるクラフトンも、ゲームとNFTの融合を検討していると述べた11日以降、株価が最大で22%上がった。

アナリストによると、NFTはゲーム業界に変革をもたらし、利益を押し上げる公算が大きい。Hiインベストメント・アンド・セキュリティーズのアナリスト、リー・サンフン氏は「これまでゲームをする一番の目的は勝つことだった。しかし、NFTと仮想通貨の取り込みで、単に勝つだけでなく、金もうけの手段となっている。これは最終的に、ゲーム制作会社の価値を再評価する機会をもたらし、株価は上向くことになる」と指摘した。

(Joori Roh記者)