[北京/ロンドン/モスクワ/ワシントン 24日 ロイター] - 中国は24日、戦略石油備蓄の放出について必要に応じて実施すると表明し、米国による協調放出の要請に従うかどうかについて明言を避けた。一方、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国で構成する「OPECプラス」は、米主導の備蓄放出に対応して現行の増産計画を見直す動きにはなっていないもよう。

バイデン米政権は23日、日本や中国、インド、韓国、英国と協調し、石油価格の抑制に向け、戦略石油備蓄を放出すると発表した。

米国は5000万バレルを放出する計画で、当事国では最も多い。ただ、中国との協調が実現しなければ、インパクトは弱まるとみられる。

中国外務省の趙立堅報道官は24日、米主導の備蓄放出に参加しているかコメントを避けた上で、「中国は実際の必要性に応じて国家備蓄からの原油放出を計画するだろう」と述べた。

一方、米主導の備蓄放出の発表を受け、OPECプラスが毎月日量40万バレルの減産縮小(増産)計画を一時停止するとの観測が浮上。ただ、関係筋は、増産停止は今のところ協議していないと明かにした。

サウジアラビアを含むOPEC加盟国とロシアなど非加盟国で構成するOPECプラスは、米国など消費国からの追加供給の要請に応じてこなかった。12月2日に会合を開き、生産計画について協議するが、計画を見直す兆候はない。

イラクのアブドルジャバル石油相は24日、OPECプラスは市場の均衡が確保されているかどうかを注視していると指摘。供給に関する決定を下す前に、最新データを精査する必要があると語った。

過去には、国際エネルギー機関(IEA)の呼び掛けで多国間の協調備蓄放出が行われたが、価格に影響を与える目的で実施されたことはない。IEAのビロル事務局長は24日、一部の生産国は供給を過度に制限しているとの見方を示した。

「現在の主要な市場逼迫要因の一部は人為的と考えることができる。主要生産国側に日量600万バレルに近い余剰生産能力が存在するからだ」と語った。

ゴールドマン・サックスのアナリストはリポートで、協調備蓄放出による供給増加幅は「大海の一滴」との見方を示した。

米当局者によると、米国が中国など主要消費国と備蓄放出で協調するのは初めて。インドは500万バレルを放出する予定で、日本は国家備蓄から「数十万キロリットル」を売却すると表明した。韓国は詳細を明らかにしていない。