東京機械の買収防衛策、最高裁も差し止め認めず
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東京機械製作所がアジア開発キャピタルの議決権を認めずに株主総会で承認を得た買収防衛策の可否について、最高裁の決定が出ました。
決定では、株式買付け手法の「強圧性」や「他の株主が株式の売却について適切な判断をするための十分な情報と時間が確保できないことが、会社の企業価値の毀損ひいては株主の共同利益を害する」との判断のもと、買収防衛策の差し止めを求めた特別抗告と許可抗告が棄却されました。
場合によっては、株主総会の議決権を制限する裁量権を取締役会に認めるという判示であり、今後の会社と株主との関係にも影響を及ぼす可能性があるでしょう。最高裁判所は、アジア開発キャピタルの市場内買付けには「強圧性」があるなどを理由に、取締役会の買収防衛策を認めた。「強圧性」とは、市場内買付けが行われると、株価が上昇し、買付けが予告なく終了すると、株価が下落し、株主は株価が下落する前に売却する圧力を受けることをいうが、本件では「強圧性」があったといえるのか。
早稲田大学ビジネススクールの鈴木一功教授がMARR32号で「TOBと市場買付けの「強圧性」に関する考察~東京機械製作所の買収防衛策を題材に~」と題する記事で東京機械の株価分析を行っている。
https://www.marr.jp/menu/ma_practices/ma_propractice/entry/33173
市場内買付けの「強圧性」は常にあり、株主総会の承認があれば、取締役会の買収防衛策は常に認められることになる。弁護士の間では、「これで買収防衛策は平時に不要。なぜなら、有事でも認められるから」との意見も多い。
今後の論者による議論の行方を注視したい。