[グラスゴー 10日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)幹部は10日、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、化石燃料の将来的な役割について擁護し、石油や天然ガスを断つことなく温室効果ガスの排出量を削減することができると主張した。

サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は「特定のエネルギー源に反対したり偏ったりすることなく、気候変動対策の多様性とパリ協定で定められた排出量削減の重要性を認識することが必要不可欠だ」と指摘。経済的コストを理由に化石燃料からの積極的な撤退を求める声に抵抗している「発展途上国の特殊事情」を交渉担当者は意識すべきだと訴えた。

その上で「われわれはこれらの国々が持続可能な発展を損なうことなく気候変動対策の影響を緩和できるよう協力していくべき」と語った。

COP26の一部関係者はロイターに対し、サウジは手続き上の遅延作戦を用いるなどして、強固な合意に向けた交渉の進行を妨害していると述べていたが、アブドルアジズ氏は、そのような発言は「虚偽の主張」として一蹴。また、化石燃料が気候変動の主因であることに同意するかとの質問に対しては「同意しない」と応じた。

一方、OPECのバーキンド事務局長は「エネルギー転換は石油などの化石燃料から再生可能エネルギーへの移行だという見方は誤解を招く」と強調。石油や天然ガスからの急速な移行は非現実で、貧困国や世界経済にダメージを与える可能性があるとした。

また「世界のエネルギーミックスの中で、石油と天然ガスという2つのエネルギー源を取り替えるという具体的な計画やロードマップは今まで聞いたことがない」と指摘。世界のエネルギーミックスの約53%を占める石油や天然ガスの供給を止めれば電力市場や石炭市場の急騰が避けられないとした。

石油や天然ガスの使用継続は技術によって可能で、使用によって生じる排出量に対処することができると主張。どのような技術を指しているのかとの質問には「開発中の技術が多くあり、その一部がテストされている」と答えた。