(ブルームバーグ): スイスの銀行クレディ・スイス・グループは4日、投資銀行事業を縮小し、これまで以上の経営資源をウェルスマネジメント事業に割り当てる計画を発表した。アルケゴス・キャピタル・マネジメントとグリーンシル・キャピタルに絡む不祥事から一線を画すための再編の一環。

発表によると、クレディ・スイスはプライムサービス事業の大半から撤退し、約30億ドル(約3400億円)の資本を投資銀行からウェルスマネジメント部門に移す。また、4つの部門に事業を再編成し、世界で単一のウェルスマネジメント部門を設立する。

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リスク管理不備の検証・分析に半年間を費やしたホルタオソリオ会長は、急進的な再編には踏み切らなかったものの、ここ数年にわたり多くの問題を生じさせてきた部門を縮小し安定したウェルスマネジメントに多くの資源を割り当てることを決めた。

同会長は発表資料で、新戦略は「はるかに小さなリスクで持続的な成長と全ての利害関係者への長期的価値提供を可能にするだろう」とコメントした。

同行は複雑で重複していた事業構造をさらに合理化し、ウェルスマネジメント、投資銀行、スイスの銀行、資産運用の4つのグローバル部門に再編する。ティージャン・ティアム前最高経営責任者(CEO)の下でのアジアの独立性は失われる。

ウェルスマネジメントの戦略として、向こう3年で500人の顧客担当者を増やすほか、非中核と見なす10市場から撤退する。投資銀行では企業の合併・買収(M&A)の助言など資本を多く使わない事業に軸足を移す。レバレッジドファイナンス・クレジットなど強みを持つ事業に集中し、他分野の事業は縮小する。

同行はまた、有形自己資本利益率を2024年までに10%超とする目標を示した。従来は中期目標として10-12%を掲げていた。自社株買いを今年に入って停止していたが、22年は利益の25%を株主還元する方針も示した。

原題:Credit Suisse to Cut Investment Bank in Wealth-Led Overhaul (1)(抜粋)

 

(第3-6段落を追加します)

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