(ブルームバーグ): 資生堂の魚谷雅彦社長は14日、自身で計画した構造改革がほぼ完結し、今後は成長投資に注力するとブルームバーグのインタビューで明らかにした。中でも、企業の合併・買収(M&A)では、米国や中国市場のユニークなブランドや、テクノロジーに注目しているという。

魚谷氏は昨年8月、コロナ禍で最終損益が赤字転落した前期の上期決算を踏まえて構造改革を決断した。これについて「全部がスケジュール通りに進んだ。ここからはちょうどグロースに転換していく時期」だという。自社のオーガニック成長を最重視しつつ、革新的な発想や新しいビジネスモデルを生み出す可能性のある米国や中国の売上高50ー100億円規模の新興企業への投資に関心があると明らかにした。

資生堂は、6期連続だった増収がコロナ禍で2020年12月期に減少に転じ、純損益は7期ぶりの赤字となった。こうした中、魚谷氏は改革を断行し、今年に入って2000億円以上の事業売却を決めている。7月に国内のパーソナルケア事業の海外ファンドへの売却を完了させ、8月には米国発祥のメイクアップブランドの「ベアミネラル」など3ブランドも譲渡することを発表した。

魚谷氏は、新型コロナウイルスについては不透明要因としながら、足元で感染状況が改善しているため、21年12月通期の業績は「これから良い方向に行くと思う」と語った。また、ワクチンパスポートが普及すれば、来年の夏にはインバウンド需要が回復すると予想した。

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